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ミュージカル『ボディガード』が大阪で開幕!

キャストの個性が際立つ、削ぎ落とされた舞台に

米満ゆうこ フリーライター


 柚希礼音と新妻聖子がダブル主演するミュージカル『ボディガード』が大阪市内の梅田芸術劇場で開幕した。

 同作は1992年にケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストン主演で全米で公開され、世界中で爆発的ヒットとなった同名映画のミュージカル版。映画版よりホイットニーのヒットナンバーを増やし、ジューク・ボックスミュージカルとしても楽しめる。2012年にロンドンのウエストエンドで初演され、昨年、イギリスキャスト版による来日公演が行われたのも記憶に新しい。

 日本版はキャストそれぞれの個性が際立ち、演出や舞台セットが来日版と比べて削ぎ落されたよりシンプルなステージとなった。

チャーミングでコミカルなレイチェル

拡大ミュージカル『ボディガード』公演から〈レイチェル=柚希礼音〉=岸隆子(Studio Elenish)撮影

 物語は歌手・女優として米国で活躍するスーパースターのレイチェルがストーカーに狙われ、マネージャーが彼女のためにボディガードのフランクを雇う。四六時中、フランクに監視されることにいら立つレイチェルだが、次第に自分を命がけで守ってくれるフランクの人柄に惹かれていくというラブ・ストーリーだ。

 映画版ではホイットニーそのままではないかと思わせる勝気で高飛車なレイチェルが印象的だったが、舞台版でもそのキャラクターはもちろん健在。しかし、〝ツンデレ〟のスーパースターが、フランクと恋に落ちたとたん、かわいらしい普通の女子に変貌していくのがこの作品のポイントでもある。柚希、新妻ともに日本版のレイチェルはよりチャーミングでコミカルな一面を見せる。

拡大ミュージカル『ボディガード』公演から=岸隆子(Studio Elenish)撮影

 また、舞台初登場の大谷亮平のフランクは、まさにはまり役。大谷と同じくミュージカル初挑戦でレイチェルのマネージャーのビルを演じたお笑い芸人の内場勝則は、持ちネタのギャグ「イーーーッ」を放ち、キャストがズッコけて会場を笑いに包む。レイチェルの楽屋で皆が勢ぞろいするシーンでは「新喜劇みたい」というセリフが飛び出し、大阪の観客は大笑い。これを過度にやると物語や設定から大きく外れてしまうので、少しだけというあんばいが良かった。

正反対のダブルキャストだからこそ違う

拡大ミュージカル『ボディガード』公演から〈レイチェル=柚希礼音〉=岸隆子(Studio Elenish)撮影

 ダブルキャストの柚希と新妻は、外見や歌唱法などが正反対な二人だからこそ、全く違うレイチェル像が楽しめた。

 幕が開き、80年代、90年代のポップスターを彷彿とさせる群舞のきらびやかなダンスに乗って、『夜の女王』を歌いながらレイチェルが初登場する。柚希は、宝塚歌劇団星組トップスターを長年務めていただけあって、その存在感と観客の目を一気に引き付ける力が半端ではない。バーンと登場した瞬間、レイチェルはスーパースターだと分かり観客を唸らせる説得力がある。

 第二幕の『アイム・エブリー・ウーマン』では長い手足を生かし、セクシーにダイナミックに踊る。高くリフトされて空中で大きく開脚するシーンは迫力に満ちさすがだ。ダンスの量や振りは新妻とは少し違うように演出されているので、そこも注目してほしい。

拡大ミュージカル『ボディガード』公演から〈レイチェル=新妻聖子〉=岸隆子(Studio Elenish)撮影

 一方、新妻のレイチェルにもど肝を抜かれた。音域が広くのびやかな美しい歌声には定評があったが、今回はハスキーさやため、こぶし、テンポの取り方などホイットニーの楽曲にふさわしいソウルミュージックのテイストが加わった。ホイットニーやマライア・キャリーの歌い方を思春期のころから真似していたそうで、その成果だろうか。ここまで表現力が幅広いと鬼に金棒だ。『グレイテスト・ラブ・オブ・オール』『ラン・トゥ・ユー』などのバラードも情感豊かにソウルフルに聴かせてくれた。

◆公演情報◆
ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版
大阪:2020年3月19日(木)~3月29日(日) 梅田芸術劇場メインホール
東京:2020年4月3日(金)~4月19日(日) 東急シアターオーブ
※最新の上演スケジュールは公式ホームページにてご確認ください。
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:ローレンス・カスダン作/ワーナー・ブラザース映画「ボディガード」
脚本:アレクサンダー・ディネラリス
訳詞:森雪之丞
翻訳:阿部のぞみ
編曲:クリス・イーガン
演出・振付:ジョシュア・ベルガッセ
[キャスト]
柚希礼音・新妻聖子(Wキャスト)、大谷亮平/
AKANE LIV、/佐賀龍彦(LE VELVETS)・入野自由(Wキャスト)、水田航生、大山真志、/内場勝則 ほか

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筆者

米満ゆうこ

米満ゆうこ(よねみつ・ゆうこ) フリーライター

 ブロードウェイでミュージカルを見たのをきっかけに演劇に開眼。国内外の舞台を中心に、音楽、映画などの記事を執筆している。ブロードウェイの観劇歴は25年以上にわたり、〝心の師〟であるアメリカの劇作家トニー・クシュナーや、演出家マイケル・メイヤー、スーザン・ストローマンらを追っかけて現地でも取材をしている。

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