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新型コロナに「医療先進国」キューバはどう立ち向い、世界に貢献しているか

板垣真理子 写真家

イタリアに医師団を派遣、イギリス客船の受け入れ

 一方、キューバはすでに患者と死者の続出するイタリアでももっともダメージのあるロンバルディア州(州都はミラノ)からの要請をうけて、薬を携えて医師団を派遣した。以前からキューバは世界各地で起きた災害現場に多数の医療団を派遣し、その高度の医療と、温かい医師団の人柄とともに歓迎と感謝を受けてきた。長年のこうした体験も踏まえて、今回の迅速な対応に繋がったとみられる。しかし、医師とて人の子。「恐怖がないわけではない。しかしやらねばならない使命のためには、それを克服して向かう」という言葉とともに出発した。

新型コロナウイルス治療を支援するためキューバからイタリア・ミラノの空港に到着した医療関係者=2020年3月22日 AP 拡大新型コロナウイルス治療を支援するためキューバからイタリア・ミラノの空港に到着した医療関係者=2020年3月22日/AP

 また、世界で話題に上ったのは、各地で寄港を拒まれたイギリス客船をキューバが受け入れたこと。これは、感染者5人が確認された「ブリーマー号」で、バハマやバルバドス他で受け入れを拒否され、1週間ほどもカリブ海を彷徨い航行し続けた後、キューバに打診し、応じられたもの。入港後は、イギリスのチャーター便で、感染、またその可能性ある人と、それ以外の人たちを別々の4機に分けて帰国させた。イギリスに帰国する際、彼らは「Te Quiero、Cuba=キューバ、愛している」の横断幕を掲げていた。その安心感と感謝は「さぞかし」と、想像に難くない。

 当のキューバでは、3月11日に、ついに最初の感染者が発生した。

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筆者

板垣真理子

板垣真理子(いたがき・まりこ) 写真家

1982年、ジャズ・ミュージシャンの撮影から写真の世界に入る。以後、ナイジェリアをはじめとしたアフリカ、南米、カリブ、アジアなどを取材。著書に、『キューバへ行きたい』(新潮社)、『ブラジル紀行――バイーア・踊る神々のカーニバル』(ブルース・インターアクションズ)、『武器なき祈り――フェラ・クティ、アフロ・ビートという名の闘い』(三五館)など多数。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです