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「ロームシアター」館長人事、京都市は説明責任を果たせ

パワハラの訴えに端を発し、就任は延期に。いま京都で何が起きているのか【下】

土田英生 劇作家・演出家・俳優/MONO代表

前回の要旨)4月1日から京都市の劇場「ロームシアター京都」の館長になる予定だった演出家の三浦基(みうら・もとい)氏の就任が1年延期された。主宰する劇団「地点」の元劇団員が、三浦さんからパワーハラスメントを受けて解雇されたと訴えていたことから、筆者らが京都市と劇場に事実関係などの確認を求める公開質問状を送っていた。パワハラ問題は、映演労連フリーユニオンとの団体交渉の結果、三浦氏が、〈元劇団員が結果として精神的苦痛を受けたことを理解し、陳謝する〉と表明。京都市は、3月19日に三浦氏の館長就任を1年延期し、その間にハラスメント防止のガイドラインを作るなどして信頼回復に努めると発表した。

根本的な解決とはほど遠い

拡大ロームシアター京都=京都市左京区岡崎最勝寺町

 一応、1年延期という判断はされたものの、根本的な問題解決には至っていない。
問題の核心は京都市の姿勢だ。

 三浦氏を就任させたいのであれば、周囲が納得できる形で誠実に着地させるべきだ。

 ハラスメントのガイドラインを設けるというが、それは一体なぜなのか?

 三浦氏の団体交渉は解決したというのに1年延期した理由はなんなのか?

 私が知りたいのは京都市がこの問題を本当のところどう考えているのかということだ。

 ここからはあくまで私の推測になる。

 館長の就任依頼をした時点で三浦氏のパワーハラスメント案件を知ったという説明を信じたとしても、そもそも京都市はそれを大きな問題だとは考えなかったのではないか。嫌らしい表現を使えば「乗り切れる」と判断したのではないか。発表してみたら内外からの批判が想像以上に多く、慌てて対処療法的に動いたのではと邪推したくなる。

 そう考えると、いまだに私たちが質問した館長推薦の経緯も具体的に明らかされないことにも合点がいく。

 誰が最初に推薦したのかも不明なままだし、パワーハラスメントの疑いを自分たちが軽視した事実を認められないからこそ、1年延期で信用回復に努めるなどという曖昧な回答になっているのではないか。

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筆者

土田英生

土田英生(つちだ・ひでお) 劇作家・演出家・俳優/MONO代表

1967年生まれ。89年に「B級プラクティス」(現MONO)結成。90年以降全作品の作・演出を担当し、外部への戯曲書き下ろしも多数。99年『その鉄塔に男たちはいるという』で第6回OMS戯曲賞大賞、2001年『崩れた石垣、のぼる鮭たち』(文学座)で第56回芸術祭賞優秀賞を受賞した。03年から1年間、文化庁の新進芸術家留学制度でロンドンに留学。ドラマや映画の脚本も多く手掛け、代表作に、映画『約三十の嘘』『初夜と蓮根』、テレビドラマ『崖っぷちホテル!』『斉藤さん』など。17年に小説『プログラム』(河出書房新社)を上梓した。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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