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「ロームシアター」館長人事、京都市は説明責任を果たせ

パワハラの訴えに端を発し、就任は延期に。いま京都で何が起きているのか【下】

土田英生 劇作家・演出家・俳優/MONO代表

果たしてほしい公共劇場の説明責任

拡大ロームシアター京都でも上演した劇団MONOの30周年公演『はなにら』=2019年、谷古宇正彦撮影

 ロームシアターは公共劇場である。税金が使われている。演劇文化の拠点として市民に開かれた場にしたいのであれば、当然、説明可能な選考によって、館長職にふさわしい人を選ぶべきである。

 もし、推薦の過程でパワハラの疑いがある案件を知ったのであれば、徹底的に調査検証し、その判断を下すべきだったと思う。その過程を怠った京都市の進め方は、あまりに雑で誠意のないものの言わざるを得ない。本当にパワーハラスメントがなかったと証明されれば、問題はなにもないのだから。

 さらにいえば、そもそもこの館長という職能が、ロームシアターにとってどういうものであるかも曖昧である。

 この問題については、開館時から現在までプログラムディレクターを務めている橋本裕介氏が、ウェブマガジン「REALKYOTO」で詳しく述べている。このことも今回の館長人事の大きな問題であるし、だからこそ今回のような杜撰な人事になったのだと考える。興味のある方は橋本氏の文章を読んでもらえるとありがたい。

 私は三浦氏の館長就任にやみくもに反対をしているわけではない。

 ある人から「土田さんが館長になりたかったんですか?」と冗談半分に聞かれたけれど、私には全く興味がないし、その野心もない。原則論で異を唱えているだけだ。

 三浦氏がきちんと過去に向き合い、そのことを表明し、その上で館長就任にあたってロームシアターと共にハラスメントのガイドラインなどを設けるのであれば、これ以上口を挟むつもりもない。

 ただ、就任を1年延期にしたのはいいとして、その間にどうするつもりなのか。団体交渉で出された〈劇団地点代表三浦基は、本件により、元劇団員が結果として精神的苦痛を受けたことを理解し、陳謝いたします〉という謝罪は何を指しているのか。

 もちろん三浦氏側にも言い分はあるのだろうけど、相手の精神的な苦痛を理解したというならば、それがパワーハラスメントにあたるかどうかはともかくとして、どのような言動がパワハラと受け取られた可能性があり、そのことをどう反省しているかということくらいは認められないものだろうか。

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筆者

土田英生

土田英生(つちだ・ひでお) 劇作家・演出家・俳優/MONO代表

1967年生まれ。89年に「B級プラクティス」(現MONO)結成。90年以降全作品の作・演出を担当し、外部への戯曲書き下ろしも多数。99年『その鉄塔に男たちはいるという』で第6回OMS戯曲賞大賞、2001年『崩れた石垣、のぼる鮭たち』(文学座)で第56回芸術祭賞優秀賞を受賞した。03年から1年間、文化庁の新進芸術家留学制度でロンドンに留学。ドラマや映画の脚本も多く手掛け、代表作に、映画『約三十の嘘』『初夜と蓮根』、テレビドラマ『崖っぷちホテル!』『斉藤さん』など。17年に小説『プログラム』(河出書房新社)を上梓した。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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