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「スカーレット」にモヤモヤ。朝ドラのヒロインは「天才」か「女性」か問題

矢部万紀子 コラムニスト

「モデル」の陶芸家は「夫の裏切り」で離婚したのだが……

 私なりの答えは、「芸術家が作品と引き換えに得る孤独」だった。正解かどうか、わからない。だが、喜美子は活躍するにつれ、確実に孤独になっていった。陶芸家として自立していく過程で夫・八郎(松下洸平)が去り、離婚して育てた一人息子も、最後に亡くなる。

 喜美子は自ら「孤独」は語らない。「テーマ」を語るなど、ダサいだろう。だが振り返れば、「喜美子は孤独ですよー」「それがテーマですよー」と激しく示唆する週もあった。烏丸せつこが演じるアンリという女性が2週間にわたり登場した。「意味不明」と思いながら見ていたが、彼女は喜美子の寂しさをストレートに口にしていたのだ。

 生きとし生けるもの、すべてが抱える思い。それが孤独だ。テーマとして、すごくいい。それなのに、はがゆいドラマだったのはなぜだろう。感想文をもう一歩進めるため、そのことを考えた。結論はこうだ。朝ドラのヒロインは「天才」か「女性」か。その問題を内包していたから、「スカーレット」ははがゆくなった。

 順を追って説明する。

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筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。最新刊に『雅子さまの笑顔――生きづらさを超えて』(幻冬舎新書)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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