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志村けん氏のコロナ死去で事の重大さに気が付く人たちが怖い

お決まりの「亡くなってから焦る」はもうやめよう

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 コメディアンの志村けん氏が、新型コロナウイルスによる肺炎が原因で、2020年3月29日に亡くなりました。国民的コメディアンとして長年テレビで活躍していた彼に対して強い思い入れのある人は多いようで、日本どころか海外にも大きな衝撃を与えています。

事の重大さに気が付くタイミングのおかしさ

拡大台湾の蔡英文総統も自身のツイッターに志村けんさんを追悼する文章を日本語で投稿した

能天気な政治家たちに自粛と言われても…

 日本は3月下旬までで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者数が欧米諸国や中国、イラン等に比べて圧倒的に少なく、この時点で人々の危機感もあまり高まっていないように見えました。

 自粛要請の中でも、いつも通り会社の上役たちは社員を満員電車に乗せて通勤させ、桜の名所はお花見で賑わい、一方で、買い溜めのためにスーパーでは長い行列が発生するという矛盾した現象も各地で起こっています。

 不要不急の外出に罰金を科したり、都市のロックダウン(封鎖)を実施して厳戒態勢をとる国々と比べて、日本社会の雰囲気はとても緩く、海外在住の日本人からは心配の声が続々と寄せられていました。

 危機感が足りなかったのは政界も同様です。4月1日以降はようやくマスクをする閣僚も目立ち始めましたが、それまでは政治家自身も全く「ソーシャル・ディスタンス」を保とうという意思を見せず、「政府対策本部」の会議ですら、密集・密接した空間で、いつクラスターになってもおかしくないようなスタイルで続けられていました。

3月26日の政府対策本部」の会合は、こんな「密集」「密接」した空間で開かれていた拡大3月26日の政府対策本部の会合は、こんな「密集」「密接」した空間で開かれていた

 菅官房長官が沖縄を訪問して有権者と握手する写真にも大変驚かされましたが、極めつけは安倍昭恵氏による芸能人とのお花見集合写真の流出でしょう。これでは政府や自治体が外出を控えるよう要請しても何の説得力も無く、国民の危機感が高まらないのも無理はありません。

 日本の死亡者数が他国よりも比較的少ない理由は、専門家の意見も分かれるところで私には分かりませんが、爆発的感染拡大の危険性自体はどこの国でも変わりなく、日本もいつイタリアやスペインのような状況に陥っても不思議ではないでしょう。


筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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