勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
様々な政治課題を先送りしたツケがいま回ってきた
新型コロナウイルスの感染が日本でも拡大しており、不要不急の外出を自粛するよう強く叫ばれるようになりました。それでも、街の様子を伝えるメディアやSNSの投稿を見ると、外出を自粛しない老若男女はまだかなり多いようです。
ところが、若者を批判のターゲットにする報道や政治家の発言が後を絶ちません。紙媒体にもありますが特にテレビは酷く、「若者 コロナ」で検索すると、テレビ報道に対する不満の声がいくつもヒットします。自民党の三原じゅん子参議院議員もTwitterで「かなりの若者達が外出した」と発言し、多くの批判が寄せられています。
確かに、中高年層より若者のほうが概して行動範囲は広く、感染した状態で出歩くと感染を拡大させる可能性は高いかもしれません。ただし、あくまで中高年よりも可能性がいくぶん高いと推測できるだけでしょう。
モデルでタレントの「みちょぱ(池田美優)」さんが、3月29日の「サンデージャポン」(TBS系)に出演し、「(外出しているのは)若者、若者って言われてるけど、テレビとかが外に出ている若者にインタビューしてるだけで結構、大人も出てる。すごく若者だけが悪いみたいに言われてるから、それはそれで私的には納得いかない」と話したようですが、本当にその通りです。
若者をターゲットにして一部の中高年の溜飲を下げても、決して新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐことはできません。関東大震災の際に起こった朝鮮人虐殺事件のように、危機下において差別は噴出しがちですが、マスメディアが積極的に大衆の差別心を煽るのは絶対にやめるべきでしょう。