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アニメーションにつながる、絵に生命が宿る話

江戸時代の物語、絵画から、現代の山村浩二アニメーションへ

有澤知世 神戸大学人文学研究科助教

現代の動く絵=アニメーション

 アニメーション映画『ゆめみのえ』はこんなストーリーだ。

 ケイサイは、人や動物を活き活きと、とても見事に描く絵師だった。ある日鯉の絵を描いていると眠ってしまい、鯉になった夢を見る。
 楽しく泳いでいた鯉は、釣り人に釣られ、城に運ばれていく……。

拡大『ゆめみのえ』で、鯉になったケイサイが食べられそうになる場面。前に掲載した『雨月物語』の挿絵を踏襲する=© Yamamura Animation

 主人公の「ケイサイ」は、江戸時代中~後期に、主に江戸で活躍した絵師・鍬形蕙斎(1764~1824)がモデルである。はじめ北尾政美(きたお・まさよし)という名で浮世絵師として活躍し、のちに狩野派に入門、津山藩(現岡山県)のお抱え絵師として活躍した。高い実力を有し、当時は葛飾北斎と並び高名な絵師だった。

 元々、日本の古典において「夢」がどのように描かれていたのかに関心を持っていた山村さんは、「ないじぇる」で幼い頃に読んだ「夢応の鯉魚」に再会し、主人公の興義に、「夢応の鯉魚」の作者・秋成と同時代に活躍した絵師、蕙斎を重ねたのである。

アニメーションには次のようなシーンがある。

 ケイサイが写生した鷹のことを想いながらうたた寝をすると、鷹になって江戸の上空を自由に飛行する夢を見る。目覚めたケイサイは、「鷹もおれの夢を見ただろうか」とつぶやく。

 昔の日本には、だれかの夢を見るのは、その人が自分のことを想っているからだという考え方があった。絵を描くことで、ケイサイは鷹と心を通わせ、鷹そのものになったのだった。

拡大『ゆめみのえ』で鷹の夢を見るケイサイ=© Yamamura Animation

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筆者

有澤知世

有澤知世(ありさわ・ともよ) 神戸大学人文学研究科助教

日本文学研究者。山東京伝の営為を手掛りに近世文学を研究。同志社大学、大阪大学大学院、日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、2017年1から21年まで国文学研究資料館特任助教。「古典インタプリタ」として文学研究と社会との架け橋になる活動をした。博士(文学)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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