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中川晃教がオリジナルミュージカル主演/上

惣領冬実原作の『チェーザレ 破壊の創造者』を舞台化

大原薫 演劇ライター


※ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』は全公演中止になりましたが、中川晃教さんのこの作品にかける思いをお伝えさせていただきます。

 中川晃教が『チェーザレ 破壊の創造者』にチェーザレ・ボルジア役で主演する。舞台は15世紀イタリア。ルネッサンス史上もっとも美しいと言われた英雄チェーザレは中世を破壊した男でもあった。「モーニング」にて連載されている累計140万部突破の大ヒット歴史漫画『チェーザレ 破壊の創造者』(惣領冬実 監修:原 基晶 講談社刊)をミュージカル化。明治座が、創業以来初となるオーケストラピットを稼働し、生演奏による本格ミュージカルを上演する。

 主演の中川晃教は日本のミュージカルシーンをけん引する俳優・シンガーである。人の心を動かさずにはいられない奇跡の歌声を持つ中川が、新たなミュージカルを発信する。本作について、あふれる思いを語ってもらった。また、2月29日、中川のコンサートが新型コロナウイルス感染対策による自粛のため中止・延期になった際に行った、インターネットライブ配信についても話を聞いた。

出演のお話をいただくと「どうして僕を配役したんだろう」と考えます

拡大中川晃教=宮川舞子 撮影

――『チェーザレ 破壊の創造者』は、16歳になったチェーザレが在籍するピサのサピエンツァ大学で、メディチ家のジョヴァンニが率いるフィオレンティーナ団、好戦的なフランス団、そして、チェーザレ率いるスペイン団など、学生達が出身地毎に牽制し合っているという設定です。現在は稽古中ですが、いかがでしょうか。

 今日(3/18時点)で2幕のラストまで行くところです。惣領(冬実)先生が繊細に描写されている世界観が本当に素晴らしいのですが、そこから私たち生身の人間がどう生き、どう演じるのか。稽古が進むにつれて感じるのは、チェーザレという人物を演じるにあたって、自分のラインをきっちり読めば存在できるかというと、意外とそれだけではないということ。周りにいる人たちがチェーザレをどう思い、彼らが語っていることをチェーザレがどう受けるかによって、チェーザレという人間や彼が生きた時代が明確に立ち上がってくるんだなと思って。偉そうな言い方ですが手応えを感じています。

――作品の全体像は見えてきましたか?

 はい。最初にお話をいただいたとき、チェーザレについて調べていけばいくほど謎めいていて「え? なぜチェーザレを取り上げようと思ったんだろう」と思ったんです。僕が出演のお話をいただいたときに「どうしてこの作品を上演しようと思われたんだろうか」「どうして僕をキャスティングしたんだろう」と考えることをいつも大事にしているんですね。チェーザレは史実を紐解くと、父親である枢機卿の血を汲みながら、残虐非道だったということも書かれているので。

 脚本は、チェーザレが生まれた1475年のローマから始まります。チェーザレは(結婚が許されない)枢機卿である父と母の間で私生児・庶子として生まれている。怪物のように恐ろしい父と、(正式な妻ではないため)娼婦と呼ばれた母から生まれたことが、自分がこの世界でどうやって生きていかなければいけないのかと考えるきっかけになった。彼が生きていくバランスを養ったのが自然なんですよね。自然の中で感じた、風や空気、そして馬。自分の周りの景色が移り変わっていく様をまじまじと見ながら、自分が何のために生きていけばいいのかと考える16歳の時期を切り取ったのが、この『チェーザレ』という作品なんです。

拡大中川晃教=宮川舞子 撮影

――原作には馬に乗るシーンが多く出てきますが、舞台ではどうなるでしょうか?

 実際に馬が舞台でどう表現されるかはお楽しみにしていていただくとして(笑)。惣領先生は本当に馬にこだわって描かれているんですね。演出の小山(ゆうな)さんが惣領先生のご自宅にお邪魔して打ち合わせに行かれたとき、先生が描いた馬の絵をたくさん見せていただいて、それが印象深かったそうです。「役者は大河ドラマ出演のために乗馬の練習をしておかないと」とかよく言いますが(笑)、僕も今まで馬についてはそれくらいのレベルでしか考えてなかった。でも、今回チェーザレを演じるにあたって、実際に乗馬してみたんです。

 物語の中では、チェーザレが育てた一番優秀な馬をジョヴァンニ(平野良・風間由次郎)に贈っています。「扱いはすごく難しいが、信頼関係を築けたら最高のパートナーになるから」って。あるとき、ふと見たらジョヴァンニに贈ったはずの馬に知らない誰かが乗っている。しかも、馬を制御できない状態で猛スピードで崖の方に向かっているので、チェーザレは助けに向かう。その馬に乗っていたのがアンジェロ(松田凌・山崎大輝)だったんです。チェーザレが自分の乗っている馬から手を伸ばして暴れ馬の手綱を掴み、その馬を制する。手綱を引くということがどういう意味合いなのか、絵では見ていたんですけど、実際に馬に乗ってわかったことがありました。

◆公演情報◆
ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』
原作:惣領冬実『チェーザレ 破壊の創造者』(講談社「モーニング」連載)
原作監修:原基晶
公式ホームページ
公式ツィッター
 
〈中川晃教プロフィル〉
 2001年、自身が作詞作曲をした「I WILL GET YOUR KISS」でデビュー。同曲にて第34回日本有線大賞新人賞を受賞。翌年、日本初演となるミュージカル『モーツァルト!』の主役に抜擢される。以降音楽活動と並行し、俳優としても活動を開始。出演のみならず楽曲提供という形でも携わっている作品多数。2016年に主演を務めたミュージカル『ジャージー・ボーイズ』で、第24回読売演劇大賞最優秀男優賞、第42回菊田一夫演劇賞を受賞。7月にミュージカル『ジャージー・ボーイズ』、11月にミュージカル『ビューティフル』への出演が決まっている他、9~10月に全国10箇所11公演のライブツアーを予定している。
中川晃教オフィシャルサイト

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

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