勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
点数の低い指導者を選ぶのは「辞め時」だ
新型コロナウイルス感染症対策をめぐって、安倍政権の対応に大きな批判が集まっているのはご存知のことと思います。ダイヤモンド・プリンセス号への対応に端を発し、PCR検査数の厳格過ぎる水準、補償や給付なしの自粛要請、他国と比べた防疫対策費の規模の小ささ、非常事態宣言の遅れ等、どれも批判なしでは語れません。
とりわけ最も批判が大きかったのが、数百億円もかけて世帯ごとに布マスク2枚を配布するという施策でしょう。インターネット上では「#アベノマスク」と揶揄され、「B29戦闘機に対して竹槍で挑むようだ」「竹槍と同じで歴史に名を残す愚策」という批判の声が殺到していました。
このように、新型コロナウイルス対策を巡っては、今まで以上に安倍政権に対する批判の声が強くなっているように感じます。これはパンデミックによって世界同時多発的に問題が起こり、他国の指導者と横並びで比較することができる面も大きいからでしょう。
つまり、新型コロナウイルスにより、世界の指導者たちはまるで「指導者版PISA」(PISA=OECD生徒の学習到達度調査)という抜き打ちの全世界一斉能力試験を受けているかのように思うのです。
そこで、「指導者版PISA」のように、指導者の様々な能力や振る舞い、パフォーマンスを評価する軸には主にどのような「科目」を設けるべきか、私なりに考えてみました。ジャストアイデアなので漏れはあると思いますが、おおよそ以下の6項目が最も重要な要素だと感じています。
(1)課題や国民ニーズの認識力
(2)ソリューションの適切性(=EBPM<エビデンスに基づく政策立案>、適切な優先順位とリソース配分)
(3)一貫性や公正さの実現とそれらに基づくガバナンス
(4)適切な人材活用や組織体制構築
(5)決断の迅速さや問題が起こる前の予防的行動
(6)パブリックコミュニケーション(ディスクロージャー、アカウンタビリティー、プレゼン能力等)