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新型コロナの天皇メッセージを思う。「利他」の人だから超えられる「分断」

矢部万紀子 コラムニスト

進講からすぐに発表されるメッセージ

 4月10日夜、NHKの「ニュース7」を見ていたら、マスクをつけた陛下と雅子さまが尾身副座長から説明を受けている映像が流れてきた。ほどなくネットニュースでも報じられ、写真には「宮内庁提供」とクレジットがあった。映像、写真を撮って、宮内庁がマスコミに知らせる。これはもう、メッセージ発表への布石だろうと確信した。

 2011年のことが頭にあった。東日本大震災発生から4日後の3月15日、天皇陛下(当時)は美智子さまと共に前原子力委員会委員長代理と警察庁長官の2人から進講を受けた。そして翌16日、ビデオメッセージを発表したのだ。今回、陛下と雅子さまも、専門家からの話を聞かずにメッセージを出すとは考えにくい。

東日本大震災の被災者にビデオメッセージで語りかける天皇陛下=2011年3月、宮内庁提供 2013122拡大東日本大震災に際してビデオメッセージで語りかける天皇陛下(当時)=2011年3月16日、宮内庁提供

 震災の際のメッセージは、5分56秒に及ぶ長いものだった。それを進講の翌日に出すというスピード感。メッセージの骨子はできていて、専門家の説明を受け仕上げたのだと想像する。10日の尾身副座長による進講の席でも、「人類にとっての試練」「心を一つに」という言葉が陛下から出た。加えて現場で働く医療関係者へのねぎらいの言葉を繰り返したそうで、もうメッセージの骨子はできているのだと思う。

 ただ、少しだけ心配がないでもない。陛下と雅子さまの問題というより宮内庁の問題かもしれないが、お二人は「広報活動」があまり得意でないように見受けられるのだ。感染症が広がっている状況へのメッセージを「広報活動」と表現するのは不謹慎かもしれない。だが、考えを広く知らせることでしか、国民とのつながりは強くならない。それを即物的に表現すると、「広報活動」になる。例えばこんなことがあった。

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筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。最新刊に『雅子さまの笑顔――生きづらさを超えて』(幻冬舎新書)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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