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星野源と安倍首相「コラボ」を不快に感じる4つの原因

印南敦史 作家、書評家

星野源への冒涜

 星野源「うちで踊ろう」もまた、ひとりの表現者としての彼の純粋な思いが生み出したものだ。アコースティック・ギター1本で録ったシンプルな楽曲をInstagramにアップし、そこに「誰か、この動画に楽器の伴奏やコーラスやダンスを重ねてくれないかな?」というメッセージを添えたアイデアは、「自分にできること」の最良の形だ。

 なぜなら彼はここで、不特定多数の人々との“コラボレーション”を成し遂げたからである。あるいは成し遂げようと試みたからである。“感覚”によって人と人とがつながれるわけで、しかもその行為自体がきわめてクリエイティブだ。

 1980年代の初めごろ、表参道の裏手にあったギャラリーになんとなく入ってみたら、思いもかけず自分自身が“作品”になってしまったことがあった。なんのことはない。名前すら憶えていないそのアーティストは、「ギャラリー内にいる人、入ってきた人すべてが作品」になるというインスタレーションを行なっていたのである。

 当時の私は、そのことにいたく感動し、共鳴したのだが、今回の星野源の取り組みにも似たニュアンスを感じた。制限があってもアイデア次第でなにかを生み出せるという事実を、あのときのアーティストも今回の星野源も、同じように証明してみせたからである。

 とはいえ、たままた足を踏み入れた人が作品になってしまうインスタレーションとは違って、「うちで踊ろう」の場合は、参加者に求められるべき大切なものがある。

 まずは

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筆者

印南敦史

印南敦史(いんなみ・あつし) 作家、書評家

1962年、東京生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ダ・ヴィンチ」「ライフハッカー(日本版)」「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.JP」「WANI BOOKOUT」など、紙からウェブまで多くのメディアに寄稿。著書に『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)など多数。新刊に『遅読家のための読書術──情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、読書する家族のつくりかた──親子で本好きになる25のゲームメソッド』(星海社新書)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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