メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

池田純矢インタビュー/下

自分が主演をやるとはまったく想像していなかった

真名子陽子 ライター、エディター


池田純矢インタビュー/上 

※エン*ゲキ#05『– 4D –imetor 』は一旦全公演中止になりましたが、池田純矢さんの作品に対する思いをお伝えさせていただきます。

演出・池田純矢にちょっとあなたの時間をいただきますよと

――今回はこれまでの作・演出に加えて主演もされますが、それはご自身で決められたんですか?

 いや、こればかりは僕だけでは決められなくて、本を書いた時点では自分がやるとはまったく想像していませんでした。

――そうなんですね。

 自分に合う役があれば出たいとは思いますけれども、それはやはり主人公以外の役でしか考えられないので、今回もどの役をやるのかなと思っていたんです。でもある時、主人公の渡来暦(わたらい・こよみ)を池田がやるのはどうだという話になり、ちょっとさすがに無理ですとお断わりして……。

拡大池田純矢=森 好弘 撮影/ヘアメイク・古橋香奈子、スタイリスト・津野真吾(impiger)[衣装協力/原宿シカゴ、慈雨、その他スタイリスト私物] 〉

――その無理っていうのはどういう意味で?

 キャパ的にやはり厳しいだろうなと思ったので。そのままキャスティングが進んだんですけど、数カ月経ってもまだ決まっていないとなり、改めて池田がやるという案が出たんです。作・演出ということを抜きにして考えた時に、俺はこの役と目が合ったのか、俳優・池田純矢として、この渡来暦という役に惹かれているか、それを純粋に考えたんです。そうしたら惹かれていたんですね。であれば、僕のためにも彼のためにもやらないといけないので、演出・池田純矢にちょっとあなたの時間をいただきますよと。

――覚悟が決まった!?

 そうです、やらねばならぬ!(笑)。

嘘を付かない、さぼらない、正直にまっすぐに

――(笑)。改めて役者・池田純矢としてこの作品はいかがですか?

 めっちゃ楽しみです。やりたかった役だと思いました(笑)。そう決まればどうとでもなるというか、生みだすしかない、やるしかないとなればできると思っているんです。ただ、今まで以上に自分のプライベートなども含めた時間を削らないといけない。その時間を費やしてでも価値のある作品になったと思えないとダメだから、いろんな意味で嘘を付かない、さぼらない、正直にまっすぐにやろうと。それをちゃんと乗り越えて、千穐楽の日に最高だったって言えたら、またひとつ成長できるのかなと思います。

――渡来暦という人物については?

 すごく魅力的ですよね、絶対友達にはなれないけど。自分と似ている人が苦手なんですよ、腹が立つ(笑)。そのスケスケの建前は止めろよ、みたいな。建前だと悟られていることを分かっていながら、その建前を崩さないっていうね。えぇそうです建て前です、という状態でいれるその神経に腹が立つんです(笑)。

拡大池田純矢=森 好弘 撮影

――(笑)。そこが池田さんに似てるんですか?

 僕、それです。でも人間って誰しも演じているところはあると思うんです。初めましての人の前では演じるし、恋人に見せる顔と母親に見せる顔は違うと思いますし、自分自身と向き合った時に、自分は自分に対して演じていないか?ということは命題で。でも演じてるんですよ、結局。どこで誰といても常に何かしらフィルターを挟んでいると思うんです。僕はそのフィルターが人より分厚い……。

――そうなんですね。

 そんなフィルターなんていらないと思えたら良いんですけど、取っ払うのはあまりにも恐怖なのでできないです。きっと、ずっーーとできないかも。そのフィルターが厚いのは己に対してもなんですよ。そうしないとまっすぐに歩けない、自分は。

――渡来暦はそんな池田さんとリンクしているんですね。

 そうですね。人との距離感や対人間関係の部分はそうではないと思うんですけど、一方向の正義で生きている人は、そのフィルターが厚い傾向にあると思いますね。

役者として他の役者に芝居のことは絶対に言わない

拡大池田純矢=森 好弘 撮影

――ノアはどの視点で書かれたんですか?

 それで言うとフィルターの内側にいる自分に近いのかもしれない。いろんなことに恐怖心を抱いて、アイデンティティーが揺らぐことに寒気がしていて、剥き出されている部分……。どの役にも自分のエッセンスが入っているけれど、でもどの役も自分ではない。まるっきり自己投影しているわけではないので、フィクションの部分が多分にしてあるんですけど、渡来暦を表だとすると、ノアは裏の自分と言えるかな。

――そのノアを生駒里奈さんが演じられますが、役についてお話はされているんですか?

 できる限りしないようにしています。スタッフも交えて食事に行った時も、仕事の話をしても作品の話はしないんです。

――それはなぜでしょう?

 何でだろう……まだ見ていないからですかね、彼女の芝居を。ノアを演じた彼女を。それを見ていれば話はできるし伝えられることもあると思うんですけど、まだ見ていない状況で何かを言ってしまうと、ヒントどころか足かせになっちゃう気がして。とりあえず今は何も言わない。自由に想像して欲しい。

――お稽古に入ってから演出家として伝えていく?

 そうですね、演出家として話すならありだけど、役者として他の役者に芝居のことは絶対に言いたくないんですよ。それは言われるのが嫌いだから(笑)。演出家に言われるのは良いんですけどね。

◆公演情報◆
エン*ゲキ#05『– 4D – imetor』
※詳細は公式サイトをご確認ください。
公式サイト
作・演出:池田純矢
出演:生駒里奈×池田純矢
玉城裕規/松島庄汰 田村心 新子景視
藤澤アニキ 北村海 町田尚規 前田りょうが 相田真滉
阿南健治
 
〈池田純矢プロフィル〉
 2006年「第19回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを受賞しデビュー。俳優としてドラマ、映画、舞台で活躍するほか、2015年に自身が作・演出を担う企画「エン*ゲキ」シリーズを立ち上げ、脚本家・演出家としてのキャリアをスタート。2018年には「LADY OUT LAW!」で脚本提供するなど、クリエイターとして外部作品に参加している。
公式twitter

・・・ログインして読む
(残り:約2865文字/本文:約5402文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

真名子陽子の記事

もっと見る