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新型コロナ対策で役所から私に届いたクレジットカード

韓国の緊急災難政策はまあまあ理にかなっている

ミン・ヨンチ ミュージシャン 韓国伝統音楽家

ダボス会議で韓国伝統音楽監督を務めた時のこと

 もっとこの事態が長く続くのだろうか、普段の平凡であった生活が少しずつ懐かしくなってきた今日この頃でもある。

 時間に余裕ができたので、Netflixでドラマを見た。

 アメリカのドラマ、“サバイバー宿命の大統領”。

 あの一時期流行ったアメリカのドラマ“24”のジャック・バウアー役、キーファー・サザーランドが主演で、スタッフも一緒であろう。

 こんな言い方は良いか分からないが、“24”の主人公ジャック・バウアーが、今度は大統領になって、国家の危機を救っていくって感じのモノ。個人的に“24”ファンであった私には、たいへん面白かった作品である。

 大阪・西成で生まれ育った、単なる在日凡民にすぎない私が、韓国伝統音楽を勉強し、職にしたおかげで、一般の方にはできない、大変貴重な経験ができているなあ、とそれは有難く感じている。

 その中でも特に、10年前くらいかなあ……イ・ミョンバク大統領の時に、スイスで行われる、世界経済フォーラム「ダボス会議」の、コリアン・デーの韓国伝統音楽監督を担当した。

 大統領行事。いわば国家で最高の行事である。

 それは出演者及びスタッフ全員の身元調査から始まる。過去に刑事事件の前科があったものは、参加できない。

拡大higyou/shutterstock.com

 調査の結果、ミュージシャンの中の2人が引っかかって不参加に……若い時に喧嘩とか……。

 出発前の国内リハも厳しく、テクニカルやタイム的なことはもちろん、もう嫌というほど何回もリハをした。

 最後のリハにはシークレットサービスが来て確認もしていった。

 移動の飛行機は、すべてビジネスクラスで、現地に着いたら、ホテルのカギと携帯とレンタカーのカギを渡された。

 ミュージシャンには無いなかなかのVIP待遇!!

 さて本番、私たちは全員耳にイヤー・モニター(無線のイヤホン、TVでよく歌手が耳に音楽聞くために付けてるやつ)を付けていた。そこには音楽ももちろん聞こえるのだが、シークレットサービスの声も聞こえるようになっていた。

 非常時用のシステムだ。そしてあらかじめ、シークレットサービスの一人に大統領が何時に、会場に入るのか確認し、コリアン・デーのオープニング演奏がスタート。演奏しながらも、大統領の動向が耳から入ってきて、登場を待つ。

 「大統領が、今、部屋を出た」
 「大統領がエレベーターに乗った」

 そんな声が聞こえる。緊張は高まる。

 けど、おかしい、もともとの登場時間より少し遅れている。音楽も、そういう非常時用に準備していたように、長めに演奏。そして少ししたら、

 「大統領、入場」

 という声が聞こえて、めでたく登場完了! 音楽もきっちりそこに合わす!

 その後、パーティーもうまくいって、行事は無事終了。

 後でシークレットサービスに聞いたら、大統領の到着時間の誤差はよくあって、ワザとしていると。事故、事件防止だと。なるほど!!

 とにかく、当時、何週間かはこの行事に気を使い、疲れ果てたのを覚えている。

 パーティーの打ち上げで、大統領秘書から、「帰りは大統領専用機乗っていくか?」とお誘いを受けたが、「いいえ、結構です……」とお断りした。

 せめて移動くらい、ゆっくりしたかったから。

拡大ダボスの街並み(筆者撮影)

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筆者

ミン・ヨンチ

ミン・ヨンチ(閔 栄治) ミュージシャン 韓国伝統音楽家

大阪生まれ。幼少の頃からブラスバンドやドラムを経験し、高校から韓国へ。旧李王朝雅楽部養成所であった国立国楽高等学校に入学、ソウル大学音楽学部国楽科卒。1992年サムルノリ競演大会個人部最優秀賞。1992年国楽室内管弦楽団「スルギドゥン」に入団。1993年スーパー・パーカッション・グループ「PURI」創団メンバー。イ・ムンセ(歌手)のテレビ番組にも出演。現在も韓国伝統音楽とジャンルの違う音楽とのコラボレーションに活動中で、2009年に立ち上げた公演「新韓楽」ではジャズとコラボ―レーションした。日韓両国で数多くの公演。アルバム「HANA」(2015年/ユニバーサルミュージック・ジャパン)をリリース。ライブでは日本全国3万人を動員。国楽管弦楽の作曲にも力を入れ、2014年韓国文化芸術委員会で作曲賞受賞。「大衆に楽しんで聞いてもらえる楽曲作り」を目指す。現在、韓国芸術総合大学、梨花女子大学、秋藝芸術大学講師。

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