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プロ野球順位予想 パ・リーグ編――セイバーメトリクスの第一人者に訊く

開幕が遅れたからできた精緻なデータ分析

井上威朗 編集者

 「カープおじさん」編集者の井上と申します。

 2020年3月、球春が到来……しませんでした。抽選に当たって確保できたなけなしの広島カープ戦チケットも次々と無効になり、日々ナイター開始時刻の18時が近づくと涙に暮れる、そんな昨今です。

 本サイトで続けている「球場で著者とお酒を飲みながら野球と本の話をする」企画も、あえなく中断となりました。

広島カープの本拠地、マツダスタジアムの入場券払戻窓口の前には、行列で混雑しないよう直径2メートルの円が置かれ、真ん中に立つように促されていた=2020年3月20日20200320拡大広島カープの本拠地、マツダスタジアムの入場券払戻窓口の前で。開幕はいつになるのか……=2020年3月20日

 ならば代わりにどうするか。開幕が延びたからこそできる野球の楽しみ方を、プロフェッショナルに教えていただけばいいのでは――。

 ということで厚かましくも、野球を統計学の視点から解析する「セイバーメトリクス」の日本における第一人者、江戸川大学客員教授の鳥越規央先生にインタビューをお願いしました。

鳥越規央(とりごえ・のりお)統計学者。江戸川大学社会学部経営社会学科客員教授。研究分野は数理統計学、セイバーメトリクス 。学位は博士(理学)。所属学会は日本統計学会、日本計算機統計学会、日本数学会、アメリカ野球学会、日本オペレーションズ・リサーチ学会会員(球場でも酒場でもなく、「三密」を避けて消毒済み某社会議室でお話をうかがいました 撮影・筆者)拡大鳥越規央(とりごえ・のりお) 統計学者。江戸川大学社会学部経営社会学科客員教授。研究分野は数理統計学、セイバーメトリクス。学位は博士(理学)。所属学会は日本統計学会、日本計算機統計学会、日本数学会、アメリカ野球学会、日本オペレーションズ・リサーチ学会会員(球場でも酒場でもなく、「三密」を避けて消毒済み某社会議室でお話をうかがいました/撮影・筆者)
 鳥越先生は1969年生まれ。理学博士号を取得し、長く東海大学准教授をつとめていたのですが、著書『9回裏無死1塁でバントはするな――野球解説は“ウソ”だらけ』(祥伝社新書)によると、米スタンフォード大学に研究留学されていた際に出席したアメリカ野球学会でセイバーメトリクスの裾野の広さを実感し、スポーツ統計学の研究にのめり込んでいったそうです。いまでは野球を科学的に考える記事をやるならまず鳥越先生に聞け、と私たち取材者の中でも最初に名前があがる、ありがたい専門家であります。

 開幕が遅れたおかげで精緻さが増したデータによって可能になった「2020年プロ野球最新予測」をぜひ楽しんでいただければ幸いです。

――先生、春が来たのにプロ野球がありません。正直、カープうんぬんよりも生きる支えを失ってしまった状況になってしまっています。そんな私はいったい何を楽しみに生きていけばいいんでしょうか。

鳥越 こんなときこそ、セイバーメトリクスです。

――ええっ? データで野球を楽しめる、ということですか?

鳥越 そうです。2019年シーズンの結果をセイバーメトリクスで精査することで、各チーム、どのポジションが強くて、どこが弱かったかということは分析できています。

 そして、あいにく大半が無観客試合でしたが、オープン戦を通じて今シーズンにあたっての各チームの戦力も、セイバーメトリクスで分析することができました。

 この分析結果を比較することで、2020年シーズンにあたって各チームは戦力の効果的な補強ができたか、層を厚くすることができたのか、ということが検証できるのです。

――もう今年の春の分析も終わっているのですね。すごい!

鳥越 (パソコンの画面を開きながら)はい。昨年(2019年)『読売巨人軍 優勝の条件――今年の原・巨人を楽しむ統計学』(ゴマブックス)という本を出しました。この本ではタイトルこそ読売ジャイアンツに限定しているようですが、実は全12球団について、セイバーメトリクスで分析した「優勝の条件」を研究しています。同様の手法で、各球団のポジションごとの戦力について数値化した、未公開データがあります。

 この資料から、各ポジションの打撃力(投手は運や守備に左右されない能力)が平均と比べてプラスかマイナスを私が指標化したうえで、2020年シーズンの予測をしてみようと思うのですが、どうでしょう?

――おお、これは嬉しいです! 雑誌のあおり風にいうと「未公開ポジション別データでわかった『プロ野球最新順位予測』!」みたいな感じですね。ストーブリーグが長くなってよかったと逆に考えられそうで楽しみです。

鳥越 そうですね。では私の予想順位の高いほうから順番に、戦力分析と予想オーダーを紹介してまいりましょう。

――ありがとうございます! カープがいきなり登場したらいいなあ。

鳥越 いえ、ではまずパ・リーグから始めます。

――はーい。12球団しっかりとうかがえるので、それはそれで感謝でございます。

2019年はレギュラーシーズン2位ながら、日本シリーズに進出してジャイアンツを4タテで下した福岡ソフトバンク・ホークス。さて今シーズンは?拡大2019年はレギュラーシーズン2位ながら、日本シリーズに進出して巨人を4タテで下したソフトバンク。さて今シーズンは?

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筆者

井上威朗

井上威朗(いのうえ・たけお) 編集者

1971年生まれ。講談社で漫画雑誌、Web雑誌、選書、ノンフィクション書籍などの編集を経て、現在は科学書を担当。