トーキョー落語かいわい【4】寄席も落語会も中止。「巣ごもり」のファンに笑いを
2020年04月26日
コロナ禍のいま、ユーチューブやツイッターの動画で、独自の発信を始めた落語家が増えてきました。
寄席や演芸場は休業。落語会も軒並み中止。上がる高座がない。そういう状況の中で、ネットを使った落語のライブや、トークを編集した動画を配信し、「見ておくれよ、聞いておくれよ」とユーザーにアピール。「巣ごもり」が続くファンにとっても、ほっとひと息つけるうれしい取り組みです。
なかでも、人気の落語家、春風亭一之輔が4月21日に始めた10日連続のライブ配信には、生の高座を渇望した落語ファンが、続々とアクセスしました。連日1万1千人を超すほどです。
「待ってました!」と配信画面にかけ声をかけたファンはきっと大勢いたことでしょう。
この一之輔の落語ライブ。無観客の場所で撮影、30日まで10日間、毎日夜8時10分ごろから約1時間、まくらをまじえて落語を生中継しています。
視聴はなんと無料! うれしいような申し訳ないような。
実は、一之輔は21日から30日まで東京の上野・鈴本演芸場という寄席の夜の部でトリを務める予定でした。4月下席(しもせき)です。しかし、コロナ感染拡大を受け、寄席は休業。そのかわりのネット配信です。だから、配信時間はトリの高座に上がる時間を想定しています。
告知をネットに出したのは4月17日。ユーチューブに「春風亭一之輔チャンネル」が開設され、告知から6日間でチャンネル登録者数は2万4千人を超え、9日目の25日には3万3千人を超えました。
落語家のユーチューブ配信としては目をみはる数です。
「第一夜」の21日は、始まる数時間も前から一之輔チャンネルには待ちきれない一之輔ファン、落語ファンが待機しました。第一夜の配信を視聴した人は1万3000人にのぼりました。
午後8時10分。着物を着て座布団に座り、話し始める一之輔。おとっつあんに息子の金坊(きんぼう)が、天神様詣でで「あれ買って、これ買って」とねだる「初天神」……と、思いきや。え?なに、なんで大岡越前守が出てくるの?と大岡政談に変化していく「団子屋政談」の一席でした。
一之輔自身が噺(はなし)の途中で、「途中まで古典落語なんですけど、途中から僕がこさえた」と解説をはさんでくれた改作です。
まくらを含め、たっぷり1時間。まさに一之輔ワールド全開のライブ。
チャットには、配信を見ながらファンが書き込みに次ぐ書き込みの嵐。「ライブは良いなあ」「このご時世、落語ぴったり」と喜ぶ声があれば、噺の推移に合わせて「飴(あめ)屋出た」「団子屋きた!」と反応する声もあり。ほんと、止まりません。
「寄席行きたい」という、やるせない書き込みもありました。
終了後は、「すごく楽しかった」「明日も楽しみにしてます」などなど、大喜びの反応が次々と投稿されました。
一之輔は第一夜の前、自ら語る「寄席入門(前後編)」をユーチューブに用意しました。寄席のプログラム構成の仕組みまで、わかりやすく解説してくれます。これを見ているうちに、ライブ配信が楽しみになった人も多いのでは?
「第二夜」の22日も、時間通りにスタート。この日も1時間近い口演です。演目は「粗忽の釘」。引っ越した先の長屋で、ほうきをかける釘を打ったものの……という噺。約1万2000人が視聴しました。
前日の書き込みに、「笑い声が恋しい……」とありました。無観客なので仕方ありません。でも、2日目はスタッフの笑い声が、時々、前日よりちょっといい感じで画面の向こうから聞こえてきたような気が……。チャットも前日に続き、いい評価のコメントであふれました。
「第三夜」の23日は
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