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小池百合子都知事が目立ちに目立つ。その「痛し痒し」について

矢部万紀子 コラムニスト

 ダメだ、30分も費やしたのに、「密ですゲーム」のレベルがCから上がらない。小池百合子東京都知事の声で「おうちにいてください」とゲームオーバーが告げられる。レベルAになったら、何と言ってもらえるのだろう。

 普段はゲームの世界と縁のない私にさえ「密ですゲーム」を知らせてくれる人がいて、気づけばこうして遊んでいる。どんな大ヒットやねん。関西弁になるほどの事態だ。

 ネットニュースに制作者のインタビューが載っていたので、読んだ。群青ちきんさんという学生さんだった。新型コロナウイルスの影響で最終日となったアルバイトの帰り道、ゲームを思いついたそうだ。4日で作り、ツイッターに投稿したら、25万回以上再生された。「まさかここまで拡がってしまうとは……。インターネットは怖いですね」と戸惑い気味の群青さん。一方の小池知事は、「ここで私が『密』と言ったら、ゲームができてしまった」と囲み取材で語ったそうだ。こちらもネットニュースの報道だが、意気軒昂である。

マスクの柄も話題に小池百合子東京都知事はゲームにもなり、マスクの柄も話題に

 そんなわけで、日に日に小池都知事の存在感が高まっている今日この頃だ。安倍晋三首相が自責点を重ねているから、ますます目立つ。余りにも対照的なのだ。

 小さいアベノマスクを一人付け、配ってみたら異物混入で回収になる安倍首相。毎日違う柄の布マスクを付けて、作り方までネットに上がる小池知事。星野源さんの動画にタダ乗りし、くつろぐだけの安倍首相。ヒカキンTVに出演し、買い溜めの心配はいらないと訴える小池知事。例えが古くて申し訳ないが、「やっぱり小池さんに1000点だよなー」と思ってしまう。

「紅一点」しか生まない政治状況のなかで

 彼女の場合、7月の都知事選の選挙活動だからね。そんなふうに批判する人はいる。わからなくはないのだが「それなら何もしない方がいいですか」と思う。あらゆる政治家の仕事の先には選挙がある。それが近いか遠いかだけだ。

 安倍さんにも選挙はある。このままでいいと思っているなら、むしろ選挙を意識してもらいたい。意識させなきゃダメだ、私ら、とも思う。小池さんだって五輪の延期が決まるまで、全然コロナに興味を示していなかった、判断が遅れたのは、安倍さんも小池さんも同罪。そういう人もいる。その通りではあるが、そこからの切り替えは、官邸より都庁の方がずっと早かったと思う。

 などと、書いている。百合子ゴーゴーに読めると思う。だが、そう単純でもないのが小池さんの難しいところだ。たくましい人だな、と思う。ちょっと不満そうな表現だなと我ながら思う。同時にたくましくて悪いか、とも思う。そんなこんなで、興味深い人。だけど好きではない人。それはそれでいいのだけど。

 などなどと思っていたら、

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