勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
家父長制的な世帯主給付は制度として破綻している
世帯主が給付金をほかの家族に渡さないケースは、何もDV家庭だけではありません。夫と妻の間に支配従属関係や上下関係があり、「振り込まれたお金を渡して欲しい」と言い出しにくい家庭も多々あると思います。また、子が既に働いている年齢なのに、親がいわゆる「毒親」であるために渡さなかったり、ギャンブル等の依存症のために世帯主が使い込んでしまうことも考えられます。
立憲民主党の女性自治体議員有志がインターネットで「あなたは10万円を受け取れそうですか?」というアンケートを実施し、許可を得た一部の声をnoteに公表していました。そこには悲痛な声が多々届いており、世帯主給付の方法に欠陥があることを改めてうかがい知ることができます。
さらに、お金を家族に渡したとしても、「本来このお金は自分のものだが、お前らにくれてやる」という世帯主も少なからずいるでしょう。これでは、世帯主による支配関係(≒家父長制)を強化しかねません。
世帯主給付を決定した政治家や官僚はこのような家族の姿を想像できなかったのでしょうか? もしくは認識していながらも平気で見捨てたのでしょうか? 世帯主によるある種の「不正受給」を平然と許してしまうことに対して、政策立案能力の欠如を感じます。
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