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西川貴教が『バーン・ザ・フロア』に出演!

僕の音楽とダンサーの踊りで空気を揺らしたい

米満ゆうこ フリーライター

 競技ダンス界で世界トップレベルのダンサーを集めたダンスカンパニー、バーン・ザ・フロア。タンゴやワルツ、サンバ、スイングダンス、コンテンポラリーダンス、ヒップホップなど、ダンサーたちの熱い踊りが息つく暇もなく展開され、ブロードウェイや世界各国の会場に火をつけてきた。日本でも過去10回にわたり来日公演を行っており、11度目の来日公演は「ロックとクラシックの融合」をテーマにした最新作。スペシャルゲストシンガーとして西川貴教が初登場し、5月、6月に公演が開かれる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期になり、現在は開催時期を調整中とのこと。延期決定前に大阪市内で行われた、西川が想いを語った取材会の模様をお届けする。

この公演に向けてトレーニングのメニューを変更

拡大西川貴教=安田新之助 撮影

記者:世界中で上演されている『バーン・ザ・フロア』ですが、日本人がシンガーとして出演するのは初めてです。

西川:前回が10回目の記念公演で一つの節目を迎え、新たな歴史を作っていくということで『バーン・ザ・フロア』のカンパニーからお声がけいただきました。本当に緊張していますし、みなさんの心に残っているQUEENの名曲を歌わせていただくということで、さらに緊張しています。世界的なトップダンサーとコラボできるまたとない機会ですので、僕自身も成長できるように頑張っていきたいです。

記者:出演にあたり、楽しみにされていることは?

西川:昨年『バーン・ザ・フロア』の韓国公演を拝見したんですが、これまで僕が出たミュージカルで経験したことのない、ペアダンスや競技ダンスを目の当たりにしました。同じ板の上でダンサーたちから思いっきり刺激を受けて、自分の成長に繋げていければと思います。

記者:どこに刺激を受けましたか。

西川:社交ダンスと呼ばれ、普段我々の身近にないものかなと思っていたんですが、競技やスポーツを見ている感覚に近かった。ダンサーたちの身体能力がすごいんです。みなさんご存知ないかも知れませんが、僕も多少筋肉があります(一同笑)。ダンサーのみなさんの細かい筋肉の動きが素晴らしかったので、僕もこの公演に向けてトレーニングのメニューを変更しています(笑)。

拡大西川貴教=安田新之助 撮影

記者:ダンサーの肉体美も見どころですが、西川さんの筋肉のご披露の予定は?

西川:ご披露はあるんですかね?(笑)。演出は外国の方なので、筋肉キャラとして僕を認識されているかは分かりませんが(笑)、僕自身がカンパニーの一員になるということで、コスチュームも外国のスタッフが作ってくださるんです。サイズや僕の造形を分かった上で作っていただくので、どんなものができるのか楽しみです。乳首が出ているのか出ていないかが、今心配なところです(笑)。

記者:それはNGなのですか?

西川:いや、そんなことはないです(笑)。ただ、そこで親戚に見せる度合いが変わってくるので、心配しています(一同笑)。

表現者として磨けるきっかけをもらっている

拡大西川貴教=安田新之助 撮影

記者:日本人初のシンガーとして選ばれた感想はいかがですか。

西川:誰かと間違えてるんやろ!と何度も確認しました。『バーン・ザ・フロア』ですよね?そんなに、僕、踊りで売ってなかったと思うし(笑)。「ぜひ、歌で」と歌に注目していただけたのが本当に光栄でした。

記者:今回、西川さんがJ×Takanori Nishikawaとしてリリースされた楽曲『REAL×EYEZ』がカンパニーとコラボで披露されます。

西川:カンパニーはジャンルによって踊るメンバーが違い、世界中から特殊能力を持つヒーローを集めた映画『アベンジャーズ』みたいな雰囲気でした。今ちょうど『仮面ライダーゼロワン』の主題歌を歌っているので、この曲を提案させてもらいました。どんな感じになるのかすごく楽しみです。

記者:また、QUEENの曲も歌います。

西川:昨年、NHKの『名曲アルバム』で東京フィルハーモニー交響楽団と『ボヘミアン・ラプソディー』を歌う機会があり、それを聴いてくれたのかな、と思うぐらいご縁を感じました。今回の出演に繋がって緊張もあるんですが、またとない機会です。QUEENのナンバーはQUEENが歌うのが最高だと分かってはいるんですが、「これなら許してもいいかな」と思っていただけるように丁寧に、リスペクトを込めて歌います。

記者:ご縁という言葉がありましたが、歌手以外の俳優としての活動も、縁で選ばれているのでしょうか。

西川:いやいや、願って朝ドラに出られるわけではないので(笑)。元々ミュージシャンで始まったので、舞台の世界に入り、本格的に腰を据えて、というのはここ15年ぐらいです。その中でもやっぱりずっと、みなさんから勉強させていただくという気持ちで毎公演挑んでいたんです。でも一昨年、地球ゴージャスの『ZEROTOPIA』に出演したときに、岸谷五朗さんから「立派に役者の仕事をしているんだから、もっと役者としてやっていけ」と言われて。そこから気持ちを切り替えたところ、俳優のオファーが増えるようになりました。軸足は音楽にあるんですが、音楽だけでは見ることのない景色や得ることのない経験から、歌に繋がる大切なものをたくさんいただいている。歌だけではなく表現者として磨いていけるきっかけをたくさんもらっているなと思います。臆せず、これからも様々なことを頑張っていきたいです。

ダンサーに負けないように歌わないと一緒には並べない

拡大西川貴教=安田新之助 撮影

記者:『バーン・ザ・フロア』は今回、初めてクールジャパンパーク大阪WWホールで上演されます。

西川:僕も初めて出演するホールです。大阪万博に向けて盛り上がってくるホールだと思うので、そういった場所で観客のみなさんと盛り上がりたい。より大きいホールもいいですが、この公演は汗や空気感が味わえる臨場感が売りだと思うので、ぴったりだと思います。

記者:カンパニーの生の良さはどこにあると思いますか。

西川:ダンサーの動きの大きさ、ダイナミックさですかね。踊りで空気が揺れる。僕も音楽で揺らしていくんですが、その会場全体の空気をいかに揺らしていけるかだと思っていて、それが生の魅力ですね。ダンサーたちは身体の表現で空気を揺らすので、それに負けないように歌わないと、彼らと一緒には並べない。ぜひ、その空気の振動を体感してほしいですね。

記者:ダンスに関するエピソードは何かありますか?

西川:実はめちゃめちゃ苦手なんですよ。いくらでも芝居するし歌うんですけど、踊らせないで、と毎回思うくらい(笑)。舞台では初日を迎える前から、メインキャストのみんなを早く帰らせて、アンサンブルで踊れるキャストを捕まえて(笑)、夜まで引っ張って練習する。教えてもらうのは毎度なんです。今回は僕にとってもすごく大きなハードルになると思います。そう言って、微動だにしなかったらごめんなさい(笑)。

記者:どのぐらいまで踊られるのでしょう?

西川:どうなんですかね(笑)。やれと言われたらやるしかないので。今までも「無理ですよ」と思うこともやらせていただいているうちに、おだてられて自分の色んな要素に変わってきたので、今回も褒めて伸ばしてくれるタイプの人たちだったらうれしいです(笑)。

舞台に立つのは、稽古で相当恥かいた成れの果て

拡大西川貴教=安田新之助 撮影

記者:こんな新しい自分を見てほしい、という期待はありますか。

西川:色んなメンバーがいて、意外と小柄な方もいらっしゃる。でも動きがダイナミックなので、小柄な方も見劣りしない。そこは意識したいですし、韓国や南アフリカなど世界中を周っているカンパニーなので、「一緒に世界を周らない?」と誘ってもらえればうれしいです(笑)。そうなったら、(滋賀ふるさと観光大使として)滋賀県のことと、どのぐらいのバランスでやっていけばいいのか…。今も滋賀県の行政にグイグイと食い込んでますから(一同笑)。

記者:踊る西川さんが楽しみです。

西川:自分のライブでも結構踊らされているので嫌いじゃないんですよ。でも、稽古中に恥かくんです。僕は今年50歳を迎えますし、自分より若手の中で恥をかくのは、まぁまぁ勇気がいるんですよ(笑)。でも、楽していると脳みそがバカになっちゃうんで、思いっきり恥かきます!『バーン・ザ・フロア』の舞台の上に立っている僕は、相当恥かいた結果の成れの果てだと思ってご覧いただけるとうれしいです(笑)。世界で誰も観たことがない、唯一無二の『バーン・ザ・フロア』をお届けできると思います!

◆公演情報◆
『バーン・ザ・フロア BE BRAVE. NO LIMITS.』
公式ホームページ

筆者

米満ゆうこ

米満ゆうこ(よねみつ・ゆうこ) フリーライター

 ブロードウェイでミュージカルを見たのをきっかけに演劇に開眼。国内外の舞台を中心に、音楽、映画などの記事を執筆している。ブロードウェイの観劇歴は25年以上にわたり、〝心の師〟であるアメリカの劇作家トニー・クシュナーや、演出家マイケル・メイヤー、スーザン・ストローマンらを追っかけて現地でも取材をしている。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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