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バグパイプを日本で吹く意味とは

国内唯一人の「職業奏者」がコロナ自粛の渦中で考えた「音楽の本質」【下】

加藤健二郎 バグパイプ奏者

漂う哀愁、戦争の中で生まれた楽曲たち

フルドレスコードの伝統的なスコットランドのバグパイプ奏者(Lukassek/Shutterstock.com)拡大Lukassek/Shutterstock.com
 スコットランド・バグパイプの曲の多くは、400年以上続いたといわれるスコットランドとイングランドの戦争の中で生まれてきた。

 スコットランドにとっては負け戦だったこともあり、哀愁漂う曲が多い。

 「敵の制圧下から王子が脱出できてよかった」という曲は、『The Dark Island』。「徴兵されて憂鬱だけど、元気を出して向かおう」という曲は、『The Recruits』。遠い戦争へ出兵して故郷の山を思い出す『The Green Hills Of Tyrol』などなど。

 曲の生い立ちを深く知ることで、スコットランド・イングランド戦争史を知り、その感情を思い描いて演奏すると、装飾音の1音1音をキッチリ出すスローな演奏をしたくなってくる。

一般化する本国のバグパイプ。他ジャンルとの融合

Brambilla Simone/Shutterstock.com拡大Brambilla Simone/Shutterstock.com
 私がバグパイプを知ったのは、映画を通してだった。重みのあるシーンでは、スローな演奏曲が流れることが多く、テクニカルな曲や、行進曲調の正確なテンポの演奏は、お笑いシーンやおチャラけた展開で使われる傾向だ。

Tim J Gray/Shutterstock.com拡大Tim J Gray/Shutterstock.com
 そのようなことを、レッスンでは伝えることもあるわけだが、その際には、本国の英国よりも極東の島国日本であるがゆえに有利な側面もある。

 英国では、バグパイプ音楽というジャンルがそれなりの存在感を持っているため、他の音楽ジャンルとの融合性を探り、バグパイプは特殊楽器ではなく、みんなと一緒にやっていける楽器ですよ、というアピールを感じる。その結果として、前述したような装飾音の簡略化などが行われる。

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筆者

加藤健二郎

加藤健二郎(かとう・けんじろう) バグパイプ奏者

1961年兵庫県尼崎市生まれ、東京、横浜育ち。早稲田大学理工学部卒。東亜建設工業に土木技術者として勤務した後、15年間の戦場ジャーナリストを経て、日本人初の職業バグパイプ奏者となる。ロック・フェスティバル「サマーソニック」に5年連続出演。ボーカルグループ「GReeeeN」のアルバムに参加。大場久美子バンドやサントリーのCMなどにも演奏で関わる。2017年からバグパイプレッスンを開講。著書は『女性兵士』(講談社文庫)、『戦場の現在―戦闘地域の最前線をゆく』(集英社新書)、『戦場へのパスポート』(ジャパンミリタリーレビュー)、『35ミリ最前線を行く』(光人社)、『密着報告自衛隊―戦闘部隊としての行動と実力』(ぶんか社)など11冊。HPは「東長崎機関」。 twitter: @katokenjiro  FB:https://www.facebook.com/kenjiro.kato.18

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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