メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

【3】ドラマの基本の型は五言絶句

4コマ漫画に起承転結というセオリーは存在しません

中川文人 作家

プロは型を身につけている

 今回のテーマは型です。

 武道には型があります。型は、あらゆる技、あらゆる動きの基本となるもので、武道家は型を身につけるために、何年も何年も修行します。私も子供の頃は剣道と空手の道場に通っていたので、毎日毎日、道場が休みの日も型の練習をしていました。おかげで、今も基本的なものは身体が覚えています。

 茶道にも型があります。茶道千家流の始祖である千利休は、型にまつわるものとして「守破離」という言葉を残しています。修行は、基本となる規矩作法、すなわち型を「守」ることから始まり、型を完全にマスターして、はじめて型を「破」ることができる。そして、そこからさらに修行を重ねると、既存の型から「離」れた、新しい型が見えてくる、という意味です。

 「型破り」という言葉は、ここから生まれたものです。型破りなことができるのは、型を完全にマスターした人。基本がしっかりしているからこそ、大胆なことができるのです。新しい型は既存の型を極めた先に見えてくる、という教えも重要です。無から生まれるわけではないのです。

 さて、ドラマ作りの世界にも、やはり型があります。そして、ドラマ作りを仕事にしている人、つまり、プロのクリエイターは、たいてい、型を身につけています。

 もちろん、中には「そんなもん、知らん」という人もいます。私の知り合いにもいます。創作の世界は何でもありですから、それでもかまいません。結果的に面白いものができるのなら、型なんて知らなくても一向にかまわない。

 が、私はやはり、型は知っておいたほうがいいと思います。なぜなら、型を知らないと量産ができないからです。私の知り合いもそうです。その人はいつも「型破り」、というか、型にはまらないものを作ります。型を知らないのだから、はまりようがないのかもしれませんが、とにかく、いつも個性的なものを作る。それはそれでユニークで、味があっていいのですが、いつも単発で終わってしまう。あとが続かない。だから、連載ができない。シリーズものができない。結果として仕事にならない。

 が、型を身につけると作品を安定供給できるようになります。というのは、型は鋳型でもあるからです。鋳型とは、鋳物を鋳造するときに溶かした金属を流し込む型のことです。鋳型さえあれば、あとは材料を流し込むだけですから、いくらでも鋳物を作ることができますね。ドラマ作りもこれと同じで、型を身につけていると作品が量産できるのです。

 たとえば、私の場合。私は1000本くらいの4コママンガを作ってきましたが、そのうちの5割くらいは「型」を使って作っています。つまり、型通りにやっています。もちろん、同じものを作っているわけではありません。みんなどこかが違います。すべてがオリジナル作品です。が、基本的な構造は同じです。鋳物にたとえると、基本的な形は同じだが、色や模様や材料が違う、ということになります。

同じ鋳型でも材料次第でまったく違う作品に

 言葉で説明してもピンと来ないと思いますので、現物を見ていただきましょう。『好書好日』に連載している「ツァラトゥストラの編集会議」のバックナンバーから、わかりやすいものを

・・・ログインして読む
(残り:約2315文字/本文:約3635文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

中川文人

中川文人(なかがわ・ふみと) 作家

1964年生まれ。法政大学中退、レニングラード大学中退。著書に『身近な人に「へぇー」と言わせる意外な話1000』(朝日文庫)、『地獄誕生の物語』(以文社)、『ポスト学生運動史』(彩流社)など。本の情報サイト『好書好日』で「ツァラトゥストラの編集会議」の構成担当。総合誌『情況』にてハードボイルド小説「黒ヘル戦記」を連載中。

中川文人の記事

もっと見る