メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

無料

久本雅美が語るワハハ本舗全体公演の復活!

ワハハは血であり肉であり、人生そのもの

米満ゆうこ フリーライター


 放送作家の喰始や、久本雅美、柴田理恵らが1984年に結成した劇団・ワハハ本舗。個性豊かなメンバーによる、強烈であけすけな笑いを全国各地に届けてきたワハハは、2017年の『ラスト3』で、メンバー全員で行う全体公演は終了すると宣言していた。

 しかし、オリンピックイヤーとともに復活。『王と花魁』と題し、全国ツアーが予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で延期。本公演もオリンピック同様、来年の開催をめどに日程を調整中することになった。再び、ワハハ本舗が全体公演を復活させたのはなぜなのか。久本雅美が大阪市内の取材会で答えた。

新作は古典芸能に笑いを取り入れる

拡大久本雅美=岸 隆子撮影

記者:初めに、再度ワハハ本舗全体公演をやることになった経緯を教えてください。

久本:3年前が『ラスト3』ということで、なくなるわけではないですが、一旦、休止するという形になったんです。うちの社長で演出家の喰始(たべ・はじめ)が、年齢もあり、ほかのことにも挑戦してみたい、ワハハにかかわっていると半年も取られるという理由で休止になった。でも、私と柴田理恵はワハハが自分たちの骨格であり、血であり肉であり、ワハハそのものが人生なので、それがなくなると自分たちの芯というものもなくなってしまう。寂しいし、ワハハが大好きなので「続けてもらえないか」と、ラスト3のあたりで喰さんを口説いていたんです。喰さんも色々悩んでいたんですが、「よし、やりましょう。でも少し休んで、オリンピックイヤーに乗っかって復活しましょう」と。それを聞いて、皆、喜びました。

記者:今回は『王と花魁』というタイトルですが、内容はどうなりますか。

久本:コンセプトとして、歌舞伎や狂言など古典芸能にワハハ流の笑いを入れていくことが決まっています。まだ具体的には分からないんですが、和をテイストに、私たちも色々アイデアを出して盛り上げていきたいと思っています。

記者:スペシャルゲストが出る可能性もあるそうですね。

久本:泉谷しげるさんがワハハのポスターにドーンと出ているんですね。今回、泉谷さんに遊びに来ていただいて、全国ツアーのどこかで出てもらう可能性はあるんです。先日、東京で記者発表をしたんですが、泉谷さんと喰さんがコロナウイルスの感染が拡大しているこんな時だから、強くなりコロナを吹き飛ばしたいと。私たちも笑いで元気や希望、パワーを送れたらと思っています。こういう時期だからこそ、笑いをお届けしたいと思っています。明確ではありませんが、私は個人的には講談をやりたい。今、講談ブームなので、何か面白いことができたらいいなと思っています。

「何がしたいねん?」が自分にとっての課題

拡大久本雅美=岸 隆子撮影

記者:講談のどこに興味があるのですか。

久本:何年か前にワハハでもやっているんです。男の子がパンツ一丁になって、私が中心で叩かれながら講談する。ろうそく垂らしたりしてSMチックなんですよ(笑)。一人で講談するシーンもあるので、とうとうと歴史を語るわけではなく、違う角度からできればいいなと思っています。

 喰さんがすごいのは、ワハハを作った時に、「ワハハは全員が作家性を持たなくてはいけない。僕は台本書かないよ」とおっしゃっていたことです。それが今も続いていて、「何がしたいの?」と聞かれることが自分にとっての一番の課題なんです。そう言われることで、自分が何を今、面白がっているのか、何を表現したいのか、お客さんにどう喜んでもらえるのかと向き合える。この時間はとっても大事なんですよ。悩んで向き合って、ああ、これやろうと決まった時に、そこから生まれてくるものは誰の発想でもなく、自分の笑いの引き出しになっていく。「何がしたいねん」から始まるのは過酷でもありますが、それが見つかるワクワク感、ドキドキ感があるんですね。

記者:「何がしたいねん」というのは、ワハハの全体公演が休止されていた3年間の中で、さらに深まってきましたか。

久本:それが人間とは不思議なもので、差し迫らないとダメですね(笑)。この3年間で、私も含めワハハのメンバーもほかの公演に参加させていただいて、必死になって取り組むので、何かが自然に身についていると思うんですよね。それぞれが3年間やってきたものが、ワハハ本舗に集まったときに、柴田は柴田らしく、梅ちゃん(梅垣義明)は梅ちゃんらしく、私は私らしく輝くために、自然に化学反応が起きていけばいいなと。舞台は場数なので、場を踏んだ分だけ力になっているのは間違いないんです。

61歳でも舞台でこんなに暴れられんのか

拡大久本雅美=岸 隆子撮影

記者:ワハハの若手メンバーの魅力は?

久本:うちの若手は皆いい子で、ダンスがすごく上手。そういう意味ではフレッシュです。私たちにはなくなってしまった魅力と動きですね。稽古前の朝早くから稽古が終わった夜遅くまで、ダンスレッスンに私や柴田さんと付き合ってくれる。本当に頼りになってありがたいです。その分、金にものいわせておごってますけどね(笑)。真面目に取り組んで、もっと面白くなろうという前向きなパワーはこっちの刺激にもなります。若手がバーッと踊っているところを、私と柴田さんがええ感じで出てきて、8フレーズぐらい踊ったら退場する(一同笑)。ウハハハハハッ、そうなりますよ。全部踊ったら死にます(笑)。

記者:今回で完全復活とのことですが、引き際を決めるときは来るのでしょうか。

久本:ワハハは往生際が悪いでしょうねーーっ(一同笑)。うちの劇団は、皆、ワハハが好きなんですよ。自分の劇団作るのもいいし、辞めてもいいんですけど、体が動くまで、しゃべれるまで、舞台に立てるまで、やり続けられるという自分たちの思いがあふれていますね。おかげさまで、60歳を超えた創立メンバーは、何とか舞台に立っていられる。それぞれ、あちこち体が痛いとか、薬のんでるとかあるんですけど、こうやって、皆が揃っていられるということ自体がありがたいなと。あと何年できるかは私たちも分からないんですが、どんな手を使ってでも笑わせるという場はなくしたくないと思っている。「立たれへんやん」と言われても、「まだしゃべれる」と(笑)。

拡大久本雅美=岸 隆子撮影

記者:久本さんは61歳になりましたが、何か違った部分が期待できますか。

久本:若い時は、勢いとパワーで出来るじゃないですか。それはそれですてきなことで宝なんです。パワーは若手には負けてないんですが、勢いというものが体力的にない。でも、味が出てくる。先輩たちを見ていてもそこがすごみやと思いますし、年齢を経て、説得力を持ってできる。ばあちゃんネタとか、こんなに年いってもこんだけ暴れられんのか、まだこんなことしてんのかというのは、特典やと思うんです。そこが面白み。今回も柴田さんと二人でやるシーンがあるんですが、二人合わせて122歳、ヒャハハハハ(一同笑)。ばあさん二人がどこまでパワフルに暴れられるのか。私らを見て、皆さんに元気になってもらいたいですね。

記者:先輩の俳優から学ぶことも多いですか。

久本:先日、「蘭 RAN」というお芝居を石倉三郎さんとやらせていただいたんです。20年ぐらい前は石倉さんは私のお父さん役やったんですよ。今回は夫婦になっているけど、全く違和感がない(笑)。石倉さんの存在感のすごさや、現役感、安定感、中身から出ている味はすごいなと目の当たりにしましたから、自分もそうなったらええなと思います。

 ワハハを長年見続けてくれているファンや、親子三世代のファン、コアなファンもいらっしゃいます。同じような年齢の方に、「あぁ、柴田も元気にやってるな、久本、まだ走っとるやんか」と思っていただけたら、こんなにうれしいことはないですね。私の同級生が見に来ても「あんた、よう声出んな。よう踊れんな、私できへんわ」と。「いやー、そこじゃなくて、わろて、わろて」と言ってるんですけど(笑)。そういう見方になるんですよね。でも、そこも面白さで醍醐味です。私も自分より年上の方が舞台を盛り上げてるのを見たら、頑張ろうと思いますもんね。

観客が笑いを取ろうとするのはやめてください(笑)

拡大久本雅美=岸 隆子撮影

記者:先輩方が久本さんの目指すところですか。

久本:生涯現役でやることが私の夢でございます。待って下さっているファンの皆様にお応えできるお芝居、舞台をやらせていただくことが闘いやと思っていますので。全員一丸となって頑張っていきたいです。

記者:笑いは本当に大切ですよね。

久本:大切です。昔、自殺願望がある人が見に来て、かわいくないわ、きれいじゃないわ、スタイル悪いわ、男前もいてない、めちゃくちゃなヤツが集まるワハハが踊っているのを見て、「あぁ、自分も生きていてええんやと思いました」とアンケートに書いてたんです(笑)。それを読んでこっちも元気になりました。スペシャリストが集まっているわけではない、不器用ながらも皆さんに喜んでもらえるために、何やったらええねんと頑張っている劇団です。お役に立てることが何よりの使命で喜びです。見たら、元気出ますよ。本当に、生きててええんやと思いますから(笑)。

記者:最後にメッセージをお願いします。

久本:関西のお客さまは本当に温かくて、いつも待っていてくれはる。地方によってはお上品な人が多かったりするんですが、関西のファンは元気で一緒に盛り上げてくれるから、何よりの私たちの元気の源。今回も同じ空間で、同じように遊んで、盛り上げてください。メンバーが客席にも飛び込んで行って、お客さま巻き込み型のシーンも必ずあります。ただ、一つだけ言っときます。関西の方は自分も笑いを取ろうとするので、それだけはやめてください(笑)。「俺のほうがおもろいやろ」という方もいてますが、おもろい時はグッと首絞めますから(一同笑)。お待ち申しております!

◆公演情報◆
『王と花魁』
公式ホームページ
公式twitter
[スタッフ]
構成・演出:喰 始
[出演]
柴田理恵、久本雅美、佐藤正宏、梅垣義明、すずまさ、なんきん、大久保ノブオ、タマ伸也、トニー淳、正源敬三、我善導、清水ひとみ、兵頭有紀、大窪みこえ、星川桂、矢原加奈子、雨宮あさひ、犬吠埼にゃん、鈴木千琴、仲村唯可、コースケ☆原澄人、村本准也、噛家坊、哀原友則、吉川元祥、三宅潤 ほか
★宣伝隊長/泉谷しげる(公演には出演いたしません)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

米満ゆうこ

米満ゆうこ(よねみつ・ゆうこ) フリーライター

 ブロードウェイでミュージカルを見たのをきっかけに演劇に開眼。国内外の舞台を中心に、音楽、映画などの記事を執筆している。ブロードウェイの観劇歴は25年以上にわたり、〝心の師〟であるアメリカの劇作家トニー・クシュナーや、演出家マイケル・メイヤー、スーザン・ストローマンらを追っかけて現地でも取材をしている。

米満ゆうこの記事

もっと見る