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「中高生のためのワタシの一行大賞」には読書の自由さが漲っている

野上 暁 評論家・児童文学者

一行に込められた思いが2万通以上も!

 「ワタシの一行大賞」は、今回が第7回目。新潮社が発行する2019年「中学生に読んでほしい30冊」「高校生に読んでほしい50冊」「新潮文庫の100冊」の対象図書の中から、心に残った作品の一行を選び、なぜその一行を選んだかを100~400字で書いて応募する。締め切りは9月30日で、第2次選考の後に角田光代が最終選考をして、大賞1名、優秀賞と佳作数名(今回は各2名)に、賞状と図書カードを贈呈。受賞作品は、『波』2020年1月号と、新潮社ホームページに全文掲載されている。

 今回の応募総数は2万2154通だというから、青少年読書感想文全国コンクールの約400万には及ばないものの、中高校生がこれだけ参加するというのも驚きだ。読書感想文コンクールは、毎年夏休みの宿題に課せられたものを学校単位で応募し、市区町村・都道府県別の審査で選ばれた感想文が中央審査会に回されて、受賞作品が決まるのだが、今や全国的な学校行事の一環のようにもなっているから比較にならない。

 昨年で65回を迎えた読書感想文コンクールの方は、歴史が長いこともあって常連入賞校もたくさんあり、指導教諭の力量も大きく影響しがちな上、感想文を書くために本を読むことを強いられるので、本来の読書の楽しみがそがれるという批判も絶えない。一行大賞のほうは、読後の感想文ではなく、気に入った一行を引き出して、それに関わる思いをエッセイとして綴るから自由度が広いのだろう。入選作のそれぞれが個性的でおもしろい。

小中高校生の読書には自由が漲っている= rongyiquan/Shutterstock.com拡大小中高校生の読書には自由が漲っている=rongyiquan/Shutterstock.com

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筆者

野上 暁

野上 暁(のがみ・あきら) 評論家・児童文学者

1943年生まれ。本名、上野明雄。小学館で子ども雑誌、児童図書、文芸書、学術書などの編集部門を担当。著書に『おもちゃと遊び』(現代書館)、『「子ども」というリアル』『日本児童文学の現代へ』(ぱろる舎)、『子ども学 その源流へ』(大月書店)、『越境する児童文学』(長崎書店)など。編著に『わたしが子どものころ戦争があった――児童文学者が語る現代史』(理論社)、『子どもの本ハンドブック』(三省堂)、『いま子どもに読ませたい本』(七つ森書館)など。日本児童文学学会会員。日本ペンクラブ常務理事。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです