メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

初めて小説化された平安時代のプレイボーイ、在原業平の生涯(後編)

『小説伊勢物語 業平』を上梓した髙樹のぶ子と万葉学者上野誠の含蓄対談

丸山あかね ライター

 新型コロナウイルス感染対策による外出自粛中の5月13日、一冊の本が出版され、注目を集めている。髙樹のぶ子著『小説伊勢物語 業平』(日本経済新聞出版本部・日経マーケティング発売)。90パーセントの書店が閉じられている中、発売から1週間で重版と幸先の良いスタートを切った。

拡大画・大野俊明
 周知のように『伊勢物語』は平安時代初期に成立した全125章段からなる歌物語。

世の中にあえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし(※この世に桜というものが無ければ、散るのを案ずることもなく、春の心も、のどかに過ごすことができるというもの)

 歌物語を小説に仕立てあげ、現代によみがえらせた作家の髙樹のぶ子氏と、歴史学や考古学、民俗学を取り入れた研究で文学界に新風を送る万葉学者の上野誠氏の含蓄とユーモアに富んだ対談。前編では、主に「『伊勢物語』を小説化することの難しさ」について語り合っていただいたが、後半のテーマは「現代人が業平の生き方に学ぶべきこと」だ。

拡大髙樹のぶ子さん(撮影・花井智子)

髙樹のぶ子 たかぎ・のぶこ
1946年、山口県生まれ。80年『その細き道』で作家デビュー。84『光抱く友よ』で芥川賞、94年『蔦燃』で島清恋愛文学賞、95年『水脈』で女流文学賞、99年『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年『HOKKAI』で芸術選奨文部科学大臣賞、2010年『トモスイ』で川端康成文学賞受賞。芥川賞をはじめ多くの文学賞の選考にたずさわる。2017年、日本芸術院会員。2018年、文化功労者。ほかの著作に『マイマイ新子』『百年の預言』『甘苦上海』『ほとほと』『明日香さんの霊異記』など多数。

拡大上野誠さん(撮影・花井智子)

上野 誠 うえの・まこと
1960年、福岡県生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。博士(文学)。現在、奈良大学文学部教授(国文学科)。研究テーマは、万葉挽歌の史的研究と万葉文化論。第12回日本民族学会研究奨励賞、第15回上代文学会賞受賞。『魂の古代学―問いつづける折口信夫』にて第7回角川財団学芸賞受賞。その他の著書に『万葉文化論』『万葉挽歌の心―夢と死の古代学』『日本人にとって聖なるものとは何かー神と自然の古代学』『万葉集から古代を読みとく』など多数。近著に『万葉学者、墓をしまい母を送る』。


筆者

丸山あかね

丸山あかね(まるやま・あかね) ライター

1963年、東京生まれ。玉川学園女子短期大学卒業。離婚を機にフリーライターとなる。男性誌、女性誌を問わず、人物インタビュー、ルポ、映画評、書評、エッセイ、本の構成など幅広い分野で執筆している。著書に『江原啓之への質問状』(徳間書店・共著)、『耳と文章力』(講談社)など

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

丸山あかねの記事

もっと見る