コロナ後は「創造経済」の時代、鍵握る芸術文化への支援
社会も教育も「クリエーティビティー」重視に舵を切れ
野田邦弘 横浜市立大学大学院都市社会文化研究科客員教授(創造都市論)
衰退した日本経済、向かうべき道は
創造経済とはどのようなものか述べる前に、その登場の背景を理解するため歴史のおさらいをしておきたい。
過去30年間、日本の経済は衰退の一途をたどってきた。平成の30年間で日本企業がどのように世界の舞台から消えていったかを企業の時価総額ベースで見てみよう。
1989年には世界のトップ10企業のうち日本企業が7社を占めていた。1位はNTT(1638.6億ドル)、日本興業、住友、富士、第一勧業の各銀行が2~5位に並び、6位米国IBMを挟んで7位三菱銀行、9位東京電力だった。
しかし、2018年はトップ10に1社も入らず、日本で最上位のトヨタ自動車は35位だった(出典:ダイヤモンドオンライン)。
注目すべきは、2018年のトップ10のうち、1位のアップル(9409.5億ドル)、2位アマゾン・ドット・コムをはじめ、7社がIT企業だということである。2020年中にGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)にマイクロソフトを加えた5社の時価総額合計が、日本の東証一部上場企業約2200社合計を抜くことが確実視されている。
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