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「愛の不時着」沼がステイホームのいじけ心を救ってくれた理由

矢部万紀子 コラムニスト

 緊急事態宣言が全国で解除された直後に、この原稿を書いている。解除記念として、我が「ステイホーム」の日々を振り返るとする。

 生活はさほど変わらなかった。会社員をやめて3年、自宅で文章を書いてきたから4月7日以降も同じようなものだ。文章を発表する「メディア」という空間は、劇場やライブハウスなどとは違い閉鎖されるものではない。だから仕事は地味に続けられている。だが、ずっといじけていた。

 原因は、Facebookだ。新型コロナウイルス関連のニュースをチェックしたくてスマホを触る頻度が上がり、ついでにFacebookに立ち寄ることが増えた。そして長々読んでしまう。Twitterと違い、直接の知り合いがほとんどの世界。よそさまのことが気になってしょうがなくなった。

 会社員の方々は、リモートワークを報告していた。不慣れだという記述はすぐに減り、楽しそうな書き込みが増えた。フリーランスの人たちも戸惑いは最初だけ、すぐに「ズーム会議を○本、こなした」といった活動報告が並ぶようになった。

 読むたび、落ち込んだ。リモートワークでもなく、ズーム会議にもよばれない自分はダメだと思った。Facebookは「リア充」アピールの場だと言い聞かせても、いじける心が止まらない。行きつけの居酒屋のテイクアウトメニューを見る以外は「Facebook禁止」と己に課したが、つい見てしまう。

 経済危機を伝えるニュースの増加と共に、いじけ心は加速した。先行きが不安になり、リア充の人をうらやむ気持ちが増した。そんな自分が疎ましかった。

 以上、我がステイホーム黒歴史。で、ここからが、韓流ドラマ「愛の不時着」の話。我が黒歴史を救ってくれた。そして、コロナ禍だったからこそ、一層染みるドラマだった。そのことを書いていく。

ドラマ「愛の不時着」。主役のソン・イェジン(右)とヒョンビン=tvN提供拡大ドラマ「愛の不時着」。主役のソン・イェジン(右)とヒョンビン=tvN提供

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筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。最新刊に『雅子さまの笑顔――生きづらさを超えて』(幻冬舎新書)

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