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動画で「すみれの花咲く頃」リレー発起人/杜けあき

【宝塚~朗らかに~】

日刊スポーツ新聞社・村上久美子


【日刊スポーツ・5月28日紙面(大阪本社発行版)より】

拡大「すみれの花咲く頃」動画シリーズについて語った杜けあき(本人提供)
 黒木瞳、真矢ミキ(旧みき)、一路真輝、真琴つばさ、紫吹淳、安蘭けい、檀れいらOGが、リレーで「すみれの花咲く頃」を歌う動画がYouTubeにアップされ、反響が広がっている。元雪組トップ杜けあきら65期生有志が呼びかけ、新型コロナウイルスと闘う医療従事者へエールとして企画された「すみれプロジェクト」。第1、2、3弾…と公開されている。その“発起人”杜に話を聞いた。

 第2弾までにOG125人が賛同。5月19日には第3弾が公開された。「すみれの花咲く頃」をリモート合唱する動画シリーズは、第2弾までを杜らが中心になって導いた。

 芸能、スポーツの方がSNSにメッセージをアップしていた。私のファンの方からも、元気の出ることを発信してもらえないかとの声をいただきました。

 同期の知人、ファンに編集やプロデュースを手がける者もおり、ボランティアで制作してくれた。仙台出身の杜は、東日本大震災後、慰問やボランティアで東北を訪ね、体育館で同曲を歌った。アカペラだった。

 ♪春 すみれ 咲き~♪と歌い始めた途端、空気の色がふわーっとピンク、薄い紫…変わっていく感覚があって。軽やかになっていくのを肌で感じ、全身に鳥肌が立ちました。

 同曲に「一瞬にして夢の世界へ誘う」力を感じた。

 宝塚は花園、夢の世界と言われてきましたが、正しくすみれの歌はそんな歌――心から実感しました。

 「すみれ――」がつなげた絆の輪。動画では、宝塚時代「ヤンミキ」としてファンに親しまれた元花組トップの安寿ミラと真矢がリンクして歌う場面もある。

 細かい編集はプロの方に。もともと「宝塚ファン」ということで、粋な取り合わせができたのだと思います。自分たちだと、逆にちょっと恥ずかしくてやりにくかったかも(笑い)。ファンの方目線で作っていただけて、結果、喜んでいただけた。

 OGには第一線を退いた者もいるが、唯一無二の世界を巣立ったOG、そのファンには固い絆がある。

 長年歌っていないから声が出ない、どんな格好で? と質問もありましたが、普段着で素顔がいいよ、と。皆それぞれ。猿の扮装をした「文月玲」には笑いました。

 トップスターの個性にあわせた作品を上演する「スターシステム」の宝塚。序列はあるものの、端の下級生にいたるまで何十人もが同じ目的に向かう。卒業後も各期に連絡網があり、声掛けはスムーズに進んだ。

 一体感、結束力、団結力はとても実感しました。とてもスムーズにスピード感を持って進みました。

 杜は88年に雪組トップ。翌年のお披露目東京公演で、ハードな舞台と重圧から声がほとんど出なくなったことがあったという。

 カスカスの声でソロを歌っていると、後ろから仲間が歌ってくれて大合唱のように。涙でいっぱい。宝塚って本当に素晴らしい。退団公演「忠臣蔵」も四十七士に支えられ、最高に幸せなラストでした。

 宝塚で学んだことの核は「愛」「友情」「絆」。今、あらためて確信する。

 この気持ちをもって臨めば、人として間違うことがないんじゃないか。タカラジェンヌとしては「品格を持って素直に生きること」が最も大事だと思う。

 古巣は、阪神・淡路大震災以来の長期休止を経験。雪組の後輩、現トップ望海風斗らは退団日が延期になった。

 不運なことになってしまった生徒さんたちもいらっしゃると思いますが、歌劇団は、みんなのことを思って最良のことを考えてくださるところ。信頼しています。その中で精いっぱいのパフォーマンスをし、しっかりと生ききることが大切。悔いを残さないように。ピンチをチャンスに変える事は絶対できるので!

 宝塚音楽学校でも入学式が初めての延期。生徒たちは、自宅でそれぞれが課題に取り組んでいる。

 今年は世界中の「新入生」がかわいそうだったと思います。宝塚音楽学校もそう。でも、人生の中に無駄な事は一切ないように感じます。誰も経験していないことを経験している。とても尊いこと。経験を生かすも殺すも自分次第。きっとすぐ未来に待っている華やかな舞台の上で、その経験が間違いなく生きてくる。人より多くの感謝が生まれますから、きっと!

 新しい生活様式が提案され、自宅で過ごす時間が増え、日常生活も変容した。

 普段できなかったことをやる。例えば親孝行、家族サービス、片付け。私は、普段プレッシャーの多い世界で生きているので、「自粛」以外のプレッシャーはないから、とても穏やかでいます。普通が普通ではない。日本人は経験したことがないことを今、まさに経験している。日々普通に暮らすことがどれだけありがたいことだったか。収束後も感謝して暮らしていければと心から思います。

◆杜けあき 1959年(昭34)7月26日、宮城県仙台市生まれ。79年、宝塚歌劇団入団。88年雪組トップ就任。92年「忠臣蔵~花に散り雪に散り~」は、旧宝塚大劇場最後の公演に。93年、同公演の東京千秋楽で退団した。女優に転身し、ミュージカルなど舞台、テレビなどでも活躍。身長165センチ、血液型AB。

「宝塚~朗らかに~」はニッカンスポーツ・コムに連載中です。

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