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東京五輪は中止して、経費をコロナ禍対策に回すべきである

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

 新しいレベルのパンデミック状況が生まれたのに、IOC(国際オリンピック委員会)は東京五輪の2021年開催を前提にし、数千億円にのぼると予想される追加負担分を日本に求める姿勢を示している(朝日新聞2020年5月16日、22日付)。

追加負担を要する上に収入は減少する

 一方、すでに五輪会計にひずみが生まれている。ウイルス感染から選手の安全を担保する(前稿)ために相当額の新たな予算を計上しなければならなくなるばかりか、コロナ禍の影響で当初見こんだ収入は大幅に減少するだろう。

 まず、仮にウイルス感染に一定の終息が見通せたとしても、ウイルス・治療薬の未普及もしくは不足と「密集・密接」に対する恐れから、五輪入場券は満足に売れないであろう。仮にあるていど売れたとしても、厚労省発表の「新しい生活様式」が提案するように、「人との間隔は、できるだけ2m(最低でも1m)空け……応援は十分な距離〔をとる〕かオンライン」で行わなければならないとするなら(ウイルスを含んだ飛沫は2メートルどころか8メートルまで達するという研究もある)、入場可能なのはおそらく収容定員の数パーセント~数割にすぎず、すでに購入された入場券代は返金さえしなければならなくなるだろう。

 仮に座席間にアクリル板を立てたとしても、これ自体膨大な追加出費を要する上に、出入り口・通路での密集は避けることができない。もし無観客で五輪を開催するのであれば、入場料売り上げ収入900億円は完全に画餅と帰す。

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

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