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劇場と行政との関係を問い直す【上】

ロームシアター京都での出来事を他山の石に

橋本裕介 ロームシアター京都プログラムディレクター

信頼回復のために延ばされた館長人事

拡大マレーシアのマーク・テが演出した『Baling(バリン)』。60年前と現代を往還しながら自国の現実を舞台化した=2016年、井上嘉和撮影

 ロームシアター京都は「文化芸術の創造・発信拠点として、文化芸術都市・京都の名を高め、京都のまち全体の発展に寄与することを目指して」をコンセプトにつくられた大小三つのホールを備えた劇場である。

 1960年に「京都会館」として建てられ、50年にわたって市民に親しまれてきたが老朽化が進み、2016年1月に再整備を経てリニューアル・オープンした。京都市を本拠とするローム株式会社の50年間のネーミングライツの対価50億円を再整備費用の一部に充てた。現在は、公益法人京都市音楽芸術文化振興財団(理事長・長尾真=元京都大学総長)が指定管理者として運営している。

 劇場には、市民からプロモーターまで様々な主催者に会場を提供するいわゆる貸し館業務と、劇場が独自に企画制作する自主事業があり、同財団職員である私は、後者の責任者である。

 問題となった新館長の人事の経緯は以下の通りである。

 京都市と財団は1月に記者会見を開き、京都を拠点とする劇団「地点」を率いる演出家の三浦基氏が2020年4月1日より、ロームシアター京都の新館長に就任すると発表した。

 しかし、この時点で地点は、パワハラを受け不当解雇されたという元劇団員の訴えによって、「映演労連フリーユニオン」と団体交渉中であった。そのため、「パワハラの疑いのある人物を公共劇場の館長という大きな権力を持つ立場に据えるのは、市と財団の人権意識があまりに低いのではないか?」と疑問の声が上がり、演劇人たちから公開質問状が提出された。20年度の主催事業に参加を予定していた複数のアーティストからも、保留や辞退の可能性があるとの意思表明がなされ、劇場運営にも影響が生じた。

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筆者

橋本裕介

橋本裕介(はしもと・ゆうすけ) ロームシアター京都プログラムディレクター

1976年、福岡生まれ。京都大学在学中の1997年より演劇活動を開始、2003年橋本制作事務所を設立後、京都芸術センター事業「演劇計画」など、現代演劇、コンテンポラリーダンスの企画・制作を手がける。2010年よりKYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭を企画、2019年までプログラムディレクターを務める。2013年2月から2019年3月まで舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)理事長。2014年1月よりロームシアター京都勤務、プログラムディレクター(プロフィール写真はルシール・レイボーズ撮影)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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