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音楽を職業にするということ~バグパイプビジネスを追求した日々

マイナー楽器だからこそ

加藤健二郎 バグパイプ奏者

「初心者の安易さ」がビジネス挑戦の力に

拡大「東京パイプバンド」の歴史と活動を伝える東京新聞の記事(2007年3月29日付)
 初心者のころは、「東京パイプバンド」に所属していた。1974年のエリザベス女王来日を機に結成され、約30人が所属する日本最大のバグパイプ楽団だ。

 4年目の春、東京新聞の記者に、楽団の活動と楽器の魅力を紙面化してもらった。戦場ジャーナリスト時代からの友人だった。このように、前職の人間関係は、音楽生活で随所で助けになってくれている。

 この新聞報道への働きかけのように、いま考えると、「安易に舐めてた」ことが、タイミングを逃さずに売り込む大胆さや、ドライなビジネス思考を可能にしていたように思える。

 2004年1月、自分のバグパイプを手に入れ、東京パイプバンドのメンバーとして練習に励み、パレードなどの合奏イベントにも参加できるようになっていった。演奏スキルの向上という点では、申し分ない環境だった。その上、高い演奏スキルを持ちながらも職業とはしない人たちの思想を感じ取れたのも貴重な経験だった。

ビジネスの時期を経て、本質求める価値観に

 「音楽で食ってくぜ」なんていうのは、自分の能力の確証も収入の保障もない中で始めるわけで、「ぶっ壊れた人生観」だともいえる。そこを突破する考えのない人には、なかなか、ありえない道なのだろう。

 5月7日配信記事で、「音楽とは、人に聴かせるためのものだろうか」という疑問を提じておきながら、「音楽で稼ぐ」とは矛盾ではないか。そう思われてしまいそうだ。

 実は、ビジネスに偏りすぎていた時代があったからこそ、今の自分の価値観がある。「音楽で稼ぐ。音楽は人に聴かれてこそ価値がある」という挑戦と苦悩の時期を経て、伝統継承の大切さや音楽の本質を重視する考え方に至った、とみていただければ幸いである。

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筆者

加藤健二郎

加藤健二郎(かとう・けんじろう) バグパイプ奏者

1961年兵庫県尼崎市生まれ、東京、横浜育ち。早稲田大学理工学部卒。東亜建設工業に土木技術者として勤務した後、15年間の戦場ジャーナリストを経て、日本人初の職業バグパイプ奏者となる。ロック・フェスティバル「サマーソニック」に5年連続出演。ボーカルグループ「GReeeeN」のアルバムに参加。大場久美子バンドやサントリーのCMなどにも演奏で関わる。2017年からバグパイプレッスンを開講。著書は『女性兵士』(講談社文庫)、『戦場の現在―戦闘地域の最前線をゆく』(集英社新書)、『戦場へのパスポート』(ジャパンミリタリーレビュー)、『35ミリ最前線を行く』(光人社)、『密着報告自衛隊―戦闘部隊としての行動と実力』(ぶんか社)など11冊。HPは「東長崎機関」。 twitter: @katokenjiro  FB:https://www.facebook.com/kenjiro.kato.18

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