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合言葉「#We Need Culture」のもとに

コロナ禍の中で映画・音楽・演劇が合流【上】

シライケイタ 劇団温泉ドラゴン代表、劇作家、演出家、俳優

映画・音楽・演劇が手を取り合って

拡大「#We Need Culture」は映画・音楽・演劇が合同で取り組む
 ここまで急速に3ジャンルが近づいたのは何故なのか。未曾有の災害に見舞われ、ゆっくり考える間も無く行動に移していたというのが実感ですが、緊急事態宣言も解除され社会活動も再開しつつある今、少し冷静に振り返ってみたいと思います。

 三者それぞれ置かれている状況も立場も異なりますので、みんなが同じ理由で近づいたわけではありません。そして、状況を振り返る際の視点は、僕が演劇人なので演劇界から見える景色が軸になることを、はじめにお断りしておきます。そして、演劇界といっても決して一つにまとまっているわけでは無く、僕が演劇界を代表できるはずもありませんので、あくまでも僕の立ち位置から見える景色であるということも、重ねてお断りしておきます。

 2月末から5月にかけての演劇界の状況は悲惨なものでした。

 2月26日のイベント自粛要請を受けて次々と公演が中止決定をしていきました。そして4月7日の緊急事態宣言発令以降は、日本中の劇場がその灯を消しました。営業自粛による損失の補填は約束されないままでした。これは、ミニシアター、ライブハウス/クラブも全く同じ状況でした。休業補償は無いまま、半ば強制の形で自粛を要請されたのです。

 先の見通せない自粛状態の中、SNSを中心に様々な表現者や団体が自粛に伴う損失に対する補償を求める発言をしました。「自粛と補償はセット」という言葉も生まれました。僕自身も、3月30日に同世代演劇人の仲間たちと共に文化庁と内閣府を訪れ、適切な補填を求める要望書を提出し、その後記者会見も行いました。

拡大文化庁に要望書を提出する筆者(右手前)ら演劇人=2020年3月30日、文化庁


筆者

シライケイタ

シライケイタ(しらい・けいた) 劇団温泉ドラゴン代表、劇作家、演出家、俳優

桐朋学園芸術短期大学演劇専攻在学中に、蜷川幸雄演出「ロミオとジュリエット」パリス役に抜擢され俳優デビュー。数々の舞台やテレビ、CMに出演。2011年より劇作と演出を開始。劇団温泉ドラゴンの座付き作家・演出家として数々の作品を発表。劇団以外での演出や脚本提供も多く、アングラ劇団から老舗の新劇団まで多様な作風に対応する演出の幅の広さを持つ。社会における人間存在の在り方を、劇場空間における俳優の肉体を通して表出させる演出手法に定評があり、生と死を見つめた骨太な作品作りが特徴。「若手演出家コンクール2013」において、優秀賞と観客賞を受賞。15年、作・演出・出演した『BIRTH』の韓国ツアーを成功させ、密陽(ミリャン)演劇祭で戯曲賞を受賞した。18年『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(若松プロダクション)と『袴垂れはどこだ』(劇団俳小)の演出で、第25回読売演劇大賞「杉村春子賞」を受賞。 日本演出者協会常務理事。日韓演劇交流センター理事。日本劇作家協会会員。18年度より、セゾン文化財団シニアフェロー。 桐朋学園芸術短期大学、非常勤講師。桜美林大学芸術文化学群、非常勤講師。 著書に『BIRTH×SCRAP』(19年)がある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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