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黒人差別・人種差別に対して、「日本人も無実ではない」

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

 5月25日にアメリカで起きた、「白人」警官によるジョージ・フロイド氏殺害は、アメリカにおける、時代錯誤とさえ言える、根強い「人種」差別の実態を、まざまざと見せつけた。

アメリカの人種差別と今日の希望

 1960年代の公民権運動期に、白人警官による「黒人」に対する暴力と権力の乱用が問題にされたが、今回の事態は、それと本質的に違わない。いや、警察当局が催涙弾・ゴム弾を使ってデモ隊を排除し、またトランプ大統領自身が米連邦軍の出動にさえ言及した点では、この半世紀の全般的な変化をふまえれば、事態は60年代より悪化したと言えるかもしれない。

 類似した暴行事件は、公民権運動から四半世紀が経過した90年代にも起きていた。公民権運動を通じてアメリカ社会に本質的とも言える変化のきざしが生まれたというのに、1991年、黒人男性ロドニー・キング氏に対する白人警官による殴るけるの暴行が、ホームビデオで撮影されて白日の下にさらされ、それは1992年の「ロサンゼルス大暴動」の引き金となった。この事件からさえ、そろそろ30年近い年月が経過している。

 にもかかわらず、今回、いまだに頑強に残るアメリカ社会の暗部を前に、暗たんたる気持ちになった人も多かったに違いない。

日本でも「BLACK LIVES MATTER」と声を上げるデモがおこなわれた=2020年6月7日、大阪市内拡大日本でも「BLACK LIVES MATTER(黒人の命も大切だ)」と声を上げるデモがおこなわれた=2020年6月7日、大阪市内

 けれどもこの事態に対し、米国内はもとより世界各地で、空前と言えるほどの差別反対運動が巻き起こったという事実に、私は大きな希望をもつ。それは欧州、北米、オセアニア、アフリカ、アラブ圏、東アジア、そして日本にも及んでいる。

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

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