だから告発女性をセカンドレイプ的に叩くべからず
2020年06月18日
またまた芸能人の不倫問題で世間が賑わっています。今度はお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建氏が、複数の女性と不倫関係を持っていたと「週刊文春」が報じました。
私としては、家族以外の人間が他人の不倫に首を突っ込むべきではないと思いますし、大衆ゴシップ誌が騒ぐだけならまだしも、テレビのワイドショーや情報番組がこぞって取り上げるのは、本当に異常だと思います。
ただし、今回の件に関しては、メディアが問題として取り上げるべき論点もあります。それは、渡部氏が相手の女性をモノのように扱う「ジャンクセックス」をしていたという点です。
報道によると、部屋に呼んで15分ほどで追い出したり、「(六本木ヒルズの)地下駐車場の多目的トイレに来い」と呼び出し、キスから性行為までわずか3~5分で別れ、帰りに1万円を渡すということを繰り返していたようです。
これらは他者の尊厳を傷付ける性行動であり、一種のデートDVです。婚姻関係にあるか否かにかかわらず、「15分で追い出されたい」「トイレで性行為をして3~5分で別れたい」と望む女性はほぼ皆無でしょう。
告発した方の中には、「一人の女性として扱って欲しかった」と訴えた人もいますが、当然のことです。彼女たちの告発は、渡部氏のデートDVに対するある種の“#MeToo”だとも言えます。
要するに、不倫問題というよりも、人権や性教育の問題です。日本社会では、他人や自分を尊重することを第一に考える「包括的性教育」が行われていない影響もあり、デートDVの一種であるジャンクセックスをする人が後を絶ちません。今回はその社会問題の一端が露呈した案件です。そういう視点であれば、ニュースとして報じる意味は十分あると思います。
ところが、プロ野球選手のダルビッシュ有氏は、「浮気があかんことは普段から言っているんやけど、その先の『どうやって』『どこで』とかを出してるのがおかしいだろって言ってんのに理解できない人がなかなか多いこと。。」と、自身のTwitterで述べていました。
私は逆だと思います。渡部氏の件は、「どうやって」「どこで」の部分における渡部氏のデートDVが「あかんこと」であって、それが社会問題でもあるから取り上げるべきなのです。むしろ“その前”の浮気自体は世間が首を突っ込むべきところではないでしょう。
ところが、告発した女性たちに加害したのは、渡部氏だけに留まりません。彼女たちに対するバッシングが噴出したのです。たとえば、タレントの武井壮氏は、Twitterに以下2つの投稿をしていました。
不倫男を擁護するつもりはまるでないが、それをペラペラ喋る女性にも辟易としている。妻帯者と知って不貞を働いたなら被害者ではなく加害者であって、それを雑誌やマスコミに喋って唯一の被害者である相手の妻や子供に二次的な損害と甚大な精神的社会的ダメージを与える低俗な行為だと認識するべきだよ
大切にされたいなら、大切にしてくれる相手選べってことだわ。。
また、6月14日放送のTBS系『サンデー・ジャポン』に出演した“ゆきぽよ”こと木村有希氏は、「不倫相手の女性が被害者面している」と述べていました。デヴィ・スカルノ氏も、「女の誇りのない人たち。週刊誌にペラペラ喋って、美しい妻の佐々木希さんをこれ以上侮辱するな!と言いたい」と自身のTwitterに投稿しています。
人権や包括的性教育の観点から言えば、告発した女性たちはデートDVの被害者です。それにもかかわらず、
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