2020年06月23日
新型コロナウイルスの感染拡大は、仏教界にも大きな不安を与えた。
筆者は、お寺の運営コンサルティングを行う株式会社寺院デザインの代表を務めているが、緊急事態宣言が出される少し前から、全国のお寺からコロナ禍の影響についての報告や相談の電話がかかってくるようになっていた。
「法事(年忌法要)が、立て続けにキャンセルになってしまった」「参列者無しのお葬式が増えた」といった具合である。
初めはあまり気にとめていなかったが、宣言後、目に見えて相談が増えてきたため、こうして電話をかけてくるお寺だけではなく、できるだけ多くのお寺と情報共有の必要があると思うようになった。そして5月の連休が終わる6日より、弊社が主催する研究会の会員(すべて僧侶)を対象に、どんな影響を受けたかについてアンケートを始めたのである。
質問は二つ。一つ目は、コロナ禍によってどんな影響を受けたかということ、二つ目は、それに対してどんな対策をしたのかということについて、記述式で回答をお願いした。
アンケート回答は、逐次ホームページにアップし、誰でも見ることができるようにし、他のお寺の方も参考にできるようにした。
コロナ禍の影響に関する回答で特に多かったのが、葬儀が小規模化したこと、法事(年忌法要)の中止が増えたこと、彼岸法要などの行事(イベント)が中止になったことの3点である。葬儀の小規模化とは具体的には、家族葬や一日葬が増えたということ、葬儀後の会食をしないことが増えたということだ。それでも葬儀は中止になることはほとんど無い。最も影響を受けたのは法事であり、影響の大きい都市部では、全てキャンセルになったというお寺もあった。
一方、対策についての回答は、衛生面でのものを除くと、法事減少対策としてオンライン法要を始めたというものが目についた。オンライン法要とは、お寺で行う儀式を、ZoomやYouTubeなどのツールを利用してネット中継するというものである。
お寺で行う儀式は、密閉、密集、密接の「3密」の状況下で行うものが多い。3密を避けなければならない状況においては、法事や行事を中止するのはやむを得ない。
それならば、オンラインで儀式を中継することで、3密を避けることができるのではないかという発想である。儀式はお寺で僧侶がきちんとやるから、参列者はモニター越しで参列してくださいということだ。
儀式自粛で活動ができないお寺にとっては、起死回生の手段に見えるのは当然である。こうして仏教界にも、リモートワークの波が訪れたのだ。
ところが仏教界というのは
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