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オンライン法要をめぐる憂鬱――コロナ禍で揺れる仏教界

薄井秀夫 (株)寺院デザイン代表取締役

法事がすべてキャンセルというお寺も

 新型コロナウイルスの感染拡大は、仏教界にも大きな不安を与えた。

 筆者は、お寺の運営コンサルティングを行う株式会社寺院デザインの代表を務めているが、緊急事態宣言が出される少し前から、全国のお寺からコロナ禍の影響についての報告や相談の電話がかかってくるようになっていた。

 「法事(年忌法要)が、立て続けにキャンセルになってしまった」「参列者無しのお葬式が増えた」といった具合である。

 初めはあまり気にとめていなかったが、宣言後、目に見えて相談が増えてきたため、こうして電話をかけてくるお寺だけではなく、できるだけ多くのお寺と情報共有の必要があると思うようになった。そして5月の連休が終わる6日より、弊社が主催する研究会の会員(すべて僧侶)を対象に、どんな影響を受けたかについてアンケートを始めたのである。

 質問は二つ。一つ目は、コロナ禍によってどんな影響を受けたかということ、二つ目は、それに対してどんな対策をしたのかということについて、記述式で回答をお願いした。

 アンケート回答は、逐次ホームページにアップし、誰でも見ることができるようにし、他のお寺の方も参考にできるようにした。

 コロナ禍の影響に関する回答で特に多かったのが、葬儀が小規模化したこと、法事(年忌法要)の中止が増えたこと、彼岸法要などの行事(イベント)が中止になったことの3点である。葬儀の小規模化とは具体的には、家族葬や一日葬が増えたということ、葬儀後の会食をしないことが増えたということだ。それでも葬儀は中止になることはほとんど無い。最も影響を受けたのは法事であり、影響の大きい都市部では、全てキャンセルになったというお寺もあった。

葬儀のライブ配信のテスト。タブレット端末で撮影して動画を配信する=前橋市
拡大葬儀のライブ配信のテスト。タブレット端末で撮影して動画を配信する=前橋市

筆者

薄井秀夫

薄井秀夫(うすい・ひでお) (株)寺院デザイン代表取締役

1966年生まれ。東北大学文学部卒業(宗教学専攻)。中外日報社、鎌倉新書を経て、2007年、寺の運営コンサルティング会社「寺院デザイン」を設立。著書に『葬祭業界で働く』(共著、ぺりかん社)、 『10年後のお寺をデザインする――寺院仏教のススメ』(鎌倉新書)、『人の集まるお寺のつくり方――檀家の帰属意識をどう高めるか、新しい人々をどう惹きつけるか』(鎌倉新書)など。noteにてマガジン「葬式仏教の研究」を連載中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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