メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

馬、羊、牛、そして犬の皮

 そのチャング、素材は胴は桐木でできていますが、皮はというと、これが日本の方たちにビックリされます……もちろん全てではありませんが、主に、馬の皮、羊の皮、牛の皮、そして犬の皮が使われます。

 えーー!! 犬の皮――!!! と、日本ではよく言われます。

 そうです。間違いありません。犬です。ワンワン。

 けど、ご心配なく。犬といってもペット用ではなく、食用です。

 食、食用……ええ___!!! 食用!! 犬食べるのーー!!

 はい、食べます。犬を食べる国は多いと聞いております。(ちなみに私は食べません)

 文化の違いですから、みなさん。そう引かないでください。

 逆にね、韓国の人に、日本の伝統楽器には猫の皮が使われていて、日本人は馬肉を食べるよっていったら、同じく物凄く引かれます。文化の違いなのです。

激しく叩く

 そしてチャンゴは、伝統音楽では、ほぼすべての曲に登場します。

 宮中音楽から民族音楽まで。日本では雅楽から地方の民謡までということになりますかね。西洋の音楽では、ピアノよりも神出鬼没です。

 よって、韓国の代表的な音楽大学や国楽(韓国伝統音楽)科には、チャング専攻があります。チャング専攻を卒業すると、楽団に就職したり、打楽器やサムルノリのチームを作ったりして、国内だけでなく、海外へと積極的に公演に出かけ幅広く活動しようとします。

拡大チャング。中野サンプラザ新韓楽リハーサル時
 チャングは、大変ユニークな楽器で、両面をハイと、ローの音で分け、竹のバチでまるでサーカスのように打ちます。これが、日本ではウケるのですが、私が2002年NHKニューイヤー・オペラコンサートに出演した際は、司会の内藤剛志さんが「超絶技巧」と連呼してくださり、一緒に出演した韓国のオペラ歌手スミ・ジョーさんを前に恥ずかしかったことを覚えています。

 でも、それくらい激しく叩くんですね。

 ほかの国の打楽器奏者に会うと、すごく喜ばれ、うらやましがられたりもします。

 「ミン君、このチャングって楽器は一生モンだね!」などと、何人かの世界的ドラマーにも言われました。

 けど、こんな出会いもありました。

 打楽器として世界的に有名か、複雑で難しいで有名なアフリカやインドなどの打楽器と舞台を共にする時。

 このアフリカやインドなどの方たちのセッションをした時は、バックステージでもお互い言葉も交わしません。プライドの張り合い! どちらの国の楽器が優秀なのかの競い合いが始まります。これは面白いですよー。

 私が思うに、アフリカやインド、そして韓国の打楽器は、変拍子や複合拍子と呼ばれる複雑なリズムがバンバン出て来る。その共通点があるから、お互いを意識するんでしょうね。舞台人は、お客さんの拍手の量を気にします。誰が一番の拍手を取るのか。緊張感と集中力が頂点に達しますからね。でも公演終了後は、みなとても仲良くなります。

 フフフ、また、やりたい。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

ミン・ヨンチ

ミン・ヨンチ(閔 栄治) ミュージシャン 韓国伝統音楽家

大阪生まれ。幼少の頃からブラスバンドやドラムを経験し、高校から韓国へ。旧李王朝雅楽部養成所であった国立国楽高等学校に入学、ソウル大学音楽学部国楽科卒。1992年サムルノリ競演大会個人部最優秀賞。1992年国楽室内管弦楽団「スルギドゥン」に入団。1993年スーパー・パーカッション・グループ「PURI」創団メンバー。イ・ムンセ(歌手)のテレビ番組にも出演。現在も韓国伝統音楽とジャンルの違う音楽とのコラボレーションに活動中で、2009年に立ち上げた公演「新韓楽」ではジャズとコラボ―レーションした。日韓両国で数多くの公演。アルバム「HANA」(2015年/ユニバーサルミュージック・ジャパン)をリリース。ライブでは日本全国3万人を動員。国楽管弦楽の作曲にも力を入れ、2014年韓国文化芸術委員会で作曲賞受賞。「大衆に楽しんで聞いてもらえる楽曲作り」を目指す。現在、韓国芸術総合大学、梨花女子大学、秋藝芸術大学講師。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

ミン・ヨンチの記事

もっと見る