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つかこうへいの稽古場で起きていたこと

作家と役者は何をしていたのか(下)

長谷川康夫 演出家・脚本家

痛みを引きずり出す手腕

拡大『初級革命講座飛龍伝』の平田満(左)と長谷川康夫=1980年、©斎藤一男

 その情報収集力も並外れている。

 つかは劇団員たち全員の、生い立ち、家族関係などを詳細に把握していた。飲んでいる席などで根掘り葉掘り、すべて聞き出すのだ。

 個人的に一人の役者を誘うことも多い。そんなとき、さんざん稽古場で罵倒しておきながら、一転、言葉少なに静かな声で「今日の芝居、よかったぞ」などとすり寄り、「次、おまえで一本、作るからよ」と来る。それを真に受けようものなら、また痛い目にあうので、黙って酒をすすっていると、「で、平田(満)のやつ、今度の芝居のこと、何か言ってたか」と、いよいよ本題に入るのである。

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筆者

長谷川康夫

長谷川康夫(はせがわ・やすお) 演出家・脚本家

1953年生まれ。早稲田大学在学中、劇団「暫」でつかこうへいと出会い、『いつも心に太陽を』『広島に原爆を落とす日』などのつか作品に出演する。「劇団つかこうへい事務所」解散後は、劇作家、演出家として活動。92年以降は仕事の中心を映画に移し、『亡国のイージス』(2005年)で日本アカデミー賞優秀脚本賞。近作に『起終点駅 ターミナル』(15年、脚本)、『あの頃、君を追いかけた』(18年、監督)、『空母いぶき』(19年、脚本)などがある。つかの評伝『つかこうへい正伝1968-1982』(15年、新潮社)で講談社ノンフィクション賞、新田次郎文学賞、AICT演劇評論賞を受賞した。20年6月に文庫化。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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