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性別転換アプリ「FaceApp」の利用が女性への偏見強化を招く

AIが人間の思考を退化させる「画一化のパラドックス」

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 写真の人物を簡単に“異性化”できる加工機能があるロシア製のスマホアプリ「FaceApp(フェイスアップ)」が、大きな話題を呼んでいます。

 著名人でも加工した画像をSNSに投稿する人が続出し、俳優の伊勢谷友介さんが自身の写真を“女性化”、石田ゆり子さんが“男性化”をしていました。

なぜ中性的な男性は“女性化”しても変わらないのか

 そこで、早速私も“女性化”を試してみました。結果は以下のようになったのですが、あまり変化を感じなかったというのが正直な感想です。女性化したというよりも、単に“バッチリメイク化”しただけのように見えます。

【1-2】【1-1】(左が筆者。右が「FaceApp」で加工した写真。【1-2】も同様)
【1-2】【1-2】

 実際に、写真をSNSに投稿しても、「ほとんど変わってない」「お化粧したらこうなりそう。他は変わっていない気がします」「メイクしただけの人になってますね」「元々中性的な顔だからね」というコメントが寄せられました。

 ミュージシャンの西川貴教さんも同様の違和感を覚えたようで、アプリ使用後に「普通に女装してる俺やねんけど... 全然思ってた効果出てない...」とTwitterでつぶやいていました。ファンから寄せられたコメントも、「あまり変わってない」「髪が伸びただけ」のように、私と似たようなものが多く見受けられます。

“女性化”したらメイクまで施されるのはおかしい

 ここに、このアプリの大きな問題点があります。元の男性の顔が“スッピン”であるならば、そのままスッピンの女性に変換すればいいはずです。ところが、このアプリでは“女性化”の加工を施す際に、自動的に“メイク顔化”させているのです。

 実際に、“女性化”をした男性の写真を見ると、アイメイクが施された影響で、目が大きくなった人は非常に多くいました。人によっては、顔の毛もしっかり整えられ、クマ・シミ・シワ等も薄くなったり、無くなったりしていました。

 メイク顔化しているのが分かるように、写真を並べてみましょう。以下の写真【2-1】は男性顔に「化粧」ボタンを押して“メイク顔化”したもの、写真【2-2】は“女性化”したものです。そして写真【2-3】はその2つを並べてみたのですが、いかがでしょうか?

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