2020年07月07日
韓国伝統音楽に関して少しでもご理解をしていただけるために、何回かにわたって記事を書かせていただいています。
今回は私が高校、大学とで専攻した楽器、テグムを紹介したいと思います。
テグムとは漢字で、大笒と書きます。竹でできている横笛です。
笒という漢字が、テグムを意味し韓国の竹でできている横笛を意味します。
ですので、サイズが違う、大中小と、大笒(テグム)、中笒(チュングム)、小笒(ソグム)もあります。
「笒」は「琴」の字とよく間違われますが、「王かんむり」ではなく、「竹かんむり」です。
王かんむりの「琴」という字は、弦楽器のお琴を意味しますね。けど、竹かんむりですので、日本にはない漢字です。素材は竹です。日本の尺八の素材になる竹と類似しています。
素材になる竹の特徴ですが、普通の竹は背が高くて太いですよね。そして筋のようなくぼみが一つだけ入っています。
けど、テグムや尺八に使われる竹は、背が小さくて細く、そして筋が2本入っています。
この竹の事を、双骨竹と言います。たくさんの竹林の中に、まれに生えているので、探すのにも難しく、双骨竹だけでも素材に値が張ります。
この双骨竹は普通の竹より、実が詰まっており、そう簡単には割れません。なので長持ちしますし、楽器の素材としては最良なのです。
テグムの最大の特徴であるのは、音色が独特です。
普通の横笛の音色と加えて、ビリビリという、リードの響きの音色がします。
横笛にリード? リードと言っても、クラリネットやサックスで使われる咥えるリードではなく、貼るリードで、そのリードを響かせながら奏でるので、すごく神秘的な音色がします。
昔の王様はこうも言いました。「もしこの世に龍が存在するのなら、龍の鳴き声はテグムの音色のようであろう」と。
この響くリードの正体は、植物の葦(アシ)の茎の内膜です。このリードがいい音を奏でるんですよ。
こちらはテグムの音色。キムソンジン先生の演奏です。
私がこのテグムを数ある楽器の中から、なぜ専攻にしたかというと、当時打楽器ばかりしていた私に、メロディー楽器を必ずした方がいいという多数からの意見と、私が中学校の時、韓国から日本に来られた、作曲家の金永東先生という方が、テグム専攻だったからなのです。
この方本人が、国立国楽高等学校、ソウル大学国楽科をテグム専攻で卒業されたので、私は跡を追ったのである。恩人です。
テグム、この楽器、一言で強敵です。
初めて吹くと、音が鳴らない~~!!
息を吹き込むところ、『吹口』という部分が異常に大きいのである。
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