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男性的価値観にすり寄る女性への「ノン!」

 初期『アンアン』がファッションだけでなく、社会的な視点から女性のあり方にアプローチしたこともよく知られている。そのひとつは「驚くべきウーマンリブ体質」(北原みのり『アンアンのセックスできれいになれた?』、2011)である。

 顕著な例は、第3号の特集タイトル、「男を皆殺しにしろ!」。SCUM(Society for Cutting Up Men)のリーダーを名乗り、1968年6月、アンディ・ウォーホルを銃撃したヴァレリー・ソラナスを主人公に、アメリカのリブを紹介する記事だ。こればかりでなく、リブの戦闘的気分はさまざまな記事にも読者投稿にも見てとれる。

秋川リサ=1973年拡大秋川リサ=1973年
 もちろん『アンアン』は広義のカルチャーマガジンだから、もとよりフェミニズムをナマの政治的言語で扱う記事は少ない。より正確に言えば、『アンアン』のフェミニズムは、男性文化と男性社会の攻撃よりは、男性的な価値観にすり寄る女性への「ノン!」の方に力点があった。

 この基本姿勢を酒井順子は、「異性ウケより自分ウケ」(『ananの嘘』、2017)と呼び、秋川リサなどの非美女系モデルの起用や「チビデブ」女性の応援記事などにその表出を見ている。いったん男の視線をかわしておかない限り、女(アンアン)と女(読者)の信頼関係はつくれないという戦略的な判断があったのかもしれない。

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筆者

菊地史彦

菊地史彦(きくち・ふみひこ) ケイズワーク代表取締役、東京経済大学大学院(コミュニケーション研究科)講師

1952年、東京生まれ。76年、慶應義塾大学文学部卒業。同年、筑摩書房入社。89年、同社を退社。編集工学研究所などを経て、99年、ケイズワークを設立。企業の組織・コミュニケーション課題などのコンサルティングを行なうとともに、戦後史を中心に、<社会意識>の変容を考察している。現在、株式会社ケイズワーク代表取締役、東京経済大学大学院(コミュニケーション研究科)講師、国際大学グローバル・コミュニケーションセンター客員研究員。著書に『「若者」の時代』(トランスビュー、2015)、『「幸せ」の戦後史』(トランスビュー、2013)など。

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