小林章夫(こばやし・あきお) 帝京大学教授
専攻は英文学だが、活字中毒なので何でも読む。ポルノも強い、酒も強い、身体も強い。でも女性には弱い。ラグビー大好き、西武ライオンズ大好き、トンカツ大好き。でも梅干しはダメ、牛乳もダメ。著書に『コーヒー・ハウス』(講談社学術文庫)、『おどる民 だます国』(千倉書房)など、訳書に『ご遺体』(イーヴリン・ウォー、光文社古典新訳文庫)ほか多数。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
新型コロナウイルスの蔓延で、影が薄れた問題がある。いわゆる「ブレグジット」、イギリスがEUから離脱するのか、である。2016年6月、国民投票の結果、わずかの差だが、離脱賛成が決まり、キャメロン首相は辞任、内相であったテリーザ・メイが首相となった。メイ首相は離脱に向けて困難なハードルを乗り越えるべく奮闘したが、結局保守党内をまとめきれず、強硬離脱派のボリス・ジョンソンが後任に決まり、2020年1月末に離脱の道筋をまとめたものの、むしろこれからの問題はEUとの複雑な交渉である。この難しい仕事をイギリスに有利に成し遂げるには大変な労力が必要であり、いくらエネルギッシュなジョンソン首相でも簡単にできることではない。
それが証拠に、コロナウイルスが蔓延したイギリスでは、さまざまの対応が必要となり、ジョンソン首相もウイルスに感染して、一時は生命が危うい状況に追い込まれた。幸いにして回復した首相は、例によって国民を叱咤激励し、多くの犠牲者を出したイギリスを復活させるべく奮闘している。しかし、ブレグジット問題はこれからが山場である。ドイツもフランスも同じようにコロナ禍に見舞われたから、それどころではないかもしれないが、いずれ何らかの決着をつける必要が出てくる。