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「ジャニーズJr.黄金期」の歴史的意味、そして嵐のデビュー

太田省一 社会学者

嵐、デビュー

 そのジャニーズJr.最初の東京ドームのコンサートのときにファンの前で初めてお披露目されたのが、すでにその年のデビューが決まっていた嵐である。

 相葉雅紀、松本潤、二宮和也、大野智、櫻井翔(当初は「桜井」表記)の5人からなる嵐。リーダーの大野が1980年生まれで、あとの4人はみな1982年から1983年生まれ。比較的年齢の近いメンバーが集まっていると言える。

 彼らがジャニーズ事務所に入ったのは1994年から1996年にかけて。松本、二宮、相葉の3人はともに1996年の入所である。松本潤は、オーディション時にはジャニー喜多川に会うことができず、「どんなひとなのかなー」と思っていたら、1か月くらい経って「いつも稽古場をキレイにしてくれていたおじさん」が当人だと知ってびっくりしたという(嵐『アラシゴト まるごと嵐の5年半』集英社、123頁)。

仙台駅構内に「嵐」の垂れ幕 宮城公演にファン20万人写真説明 JR仙台駅構内にはメンバーの巨大な垂れ幕も登場した=仙台市青葉区、小宮山亮磨撮影 2015年9月16日
拡大仙台での公演を前に、嵐のメンバーの巨大な垂れ幕が下げられたJR仙台駅構内=2015年9月

 そこから嵐としてメジャーデビューするまで、舞台、映画、ドラマへの出演、さらにJr.内のユニットなど各自Jr.としての活動を続けた。そしてそれは、先ほどふれた「Jr.黄金期」におおよそ当たっていた。5人もそれぞれJr.のコンサートや音楽番組、先述の『愛LOVEジュニア』や『8時だJ』のようなバラエティ番組に出演、そのブームのただなかにいた。

 多くのJr.のなかから選抜されるかたちで5人が集められ、嵐としてデビューすることが発表されたのが1999年9月のことである。ハワイの客船上での会見という華々しいかたちがとられた。

 ただメンバーは、詳細をあまり事前に知らされなかったようだ。櫻井翔などは

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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)、『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)など。最新刊に『ニッポン男性アイドル史――一九六〇-二〇一〇年代』(近刊、青弓社)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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