
園田涼インタビュー(上)
「今、曲を書くには最高の時期だね!」というエール
──今回のステージでは音楽監督も務められますが、作曲家としても編曲家としても活躍されていて、両方に感じる魅力はどうですか?
作曲と編曲は全く違うものだと思っています。「編曲はやればやるほど良くなるけれども、作曲はそうとは限らない」という言葉があるのですが、実際に大ヒット曲が三分でパパっと書かれたというエピソードもあって、そこには作曲の神秘があるし、こうすれば良いという明確な答えがないからこその魅力や希望があります。一方編曲は僕も色々な方の楽曲を書かせて頂いていて、本当にまだまだなのですが、でも10年前の自分に比べるとしたら、それなりに外さない音楽的なものが書けるようになってきたなという実感はあります。でも作曲は未だに全くわからないですし、だからこそ面白いのかなと思っています。
──作曲をされる時のスタイルはどんなものですか?
メロディーがふっと浮かぶということもありますが、基本的にはピアノの前に座って「さぁ、書くぞ!」というスタイルです。ですからこの自粛期間中にあるクリエーターの方から「園田君、今、曲を書くには最高の時期だね」というメッセージを頂けたのに勇気づけられました。
──それは素敵な言葉ですね!
背中を押してもらって曲を書いていました。今回のコンサートに出演する川島ケイジさんも「さぁ、書くぞ!」とギターに向かわれると伺っているので、この期間に生み出された曲も多いんじゃないかなと思います。
ピアニスト冥利につきるピアニッシモ

園田涼=宮川舞子 撮影
──どんな楽曲が生まれたのかもとても楽しみですが、またもうひとつ、ピアニスト、演奏家として臨まれている時の魅力はどうですか?
やっぱりライブならではの、一瞬、一瞬、その時にしか生まれない音楽を感じられるのが醍醐味ですね。例えば同じ歌手の方と、同じ歌をご一緒したとしても、ちょっとした呼吸や、ニュアンスは一回ごと、絶対に変わってくるので、それを僕がキャッチしてピアノで返してあげられた時。音楽のキャッチボールができた時の喜びはとても大きいので、演奏中はものすごく神経を研ぎ澄ましています。特に僕が個人的にワクワクするのは、二時間のコンサートだとしたら「今、この二時間の中で一番小さな音を出している!」という瞬間なんです。ピアノは指で鍵盤をおろすだけの楽器ですけれども、そこにはゼロから1万くらいまでダイナミクスのレンジがあるので、ちゃんと芯のある小さな音が出せた時が演奏家として一番嬉しい瞬間です。
──フォルティッシモ(とても強い音)ではなくピアニッシモ(とても小さい音)なんですね。
もちろんフォルティッシモでノリノリの曲をやる楽しさもありますが、無音スレスレくらいのピアニッシモの音がホールに響く瞬間には、ピアニスト冥利に尽きるものがあります。
──それは本当にその場にいてこそ体感できる瞬間ですね。
大げさに聞こえるかも知れませんが「生きている!」と感じます。そのホールで皆さんとつながっていると感じられるので。
◆公演情報◆
LOVE SONG COVERS the WORLD 2020
〜世界に届け!♥ 愛の歌でエールを送ろう!〜
2020年9月25日(金) なかのZERO 大ホール
公式ホームページ
音楽監督:園田涼
演奏:ソノダオーケストラ
演出:浜田和孝
出演(五十音順):エリック・フクサキ with dancers from ZEAL STUDIOS、川島ケイジ、沙央くらま、日野真一郎(LE VELVETS)、宮澤佐江、夢咲ねね、LEN
〈園田涼プロフィル〉
大学に在学中にプロ活動を開始。ソノダバンドを経て現在は様々なアーティストやドラマ、CMなどへの楽曲提供やサポート、東大から音楽家という一風変わった経歴を活かして新聞、雑誌への執筆など幅広い活動を行う。2016年、新ユニット「三角関係 feat. 三浦拓也」、2017年10月、自身が主宰する「ソノダオーケストラ」を始動。作曲・編曲を自身の核としつつ、演奏においてもポップスやロックはもちろん、歌謡曲からミュージカル、フルオーケストラとの共演まで、どのジャンルに対しても自分の音を追求しながら演奏活動を続けている。
★Official Site
★Official Instagram
★Official Twitter
★Official Facebook
★Official YouTube Channel
・・・
ログインして読む
(残り:約1935文字/本文:約3798文字)