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コロナ禍で苦戦するフランスの映画館(下)――公的支援は手厚いが……

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

旧作発見の楽しみ

 このように期待の話題作でもヒットが望みにくい状況にあり、映画会社が新作を出し渋る中で、最近は古今東西の過去の大ヒット作を上映する動きが活発になっている。

 例えば、『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』『007』シリーズ、『タイタニック』『千と千尋の神隠し』、フランス映画なら『レ・ブロンゼ』シリーズ、『フィフス・エレメント』『憎しみ』、数年前の話題作では『ラ・ラ・ランド』『ファントム・スレッド』といった作品が、矢継ぎ早に登場している。もう過去にヒットした作品なら、何でもぶつけてみよう!という節操のなさが、見ていてなんだか楽しくはある。

 このような流れのおかげで、過去の作品を大スクリーンで発見できる若い世代もいる。パリ3区の映画館MK2ボブールで友人と映画を見ていたウィリアムさん(17)に、「映画館営業再開後の作品ラインナップは満足か?」と聞いてみたところ、前向きな答えが返ってきた。

 「ブロックバスターのアメリカ映画が公開されない分、多様性が増したので、自分にとっては満足な状況。これまでロックダウン後に7、8本、映画館で映画を見たけど、中でもデヴィッド・クローネンバーグの『クラッシュ』を大スクリーンで鑑賞できたのには感激した。僕の世代は映画館で見られなかった作品なので、良い機会になった」。この状況も決して悪いことばかりではないようだ。

映画館MK2ボブールの観客。「ブロックバスターのアメリカ映画が公開されない分、多様性が増したので、自分にとっては満足な状況」とウィリアムさん(右)拡大映画館MK2ボブールの観客。「ブロックバスターのアメリカ映画が公開されない分、多様性が増したので、自分にとっては満足な状況」とウィリアムさん(右)=撮影・筆者

 ただし、この聡明そうな若者は

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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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