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演劇ポスターVRが、都市の記憶と時代を語る

名品そろえ、ポスターハリス・カンパニーが公開

山口宏子 朝日新聞記者

ポスターの森を歩くように

 都市の記憶と時代の空気を焼き付けた演劇のポスター。街角で、またバーや喫茶店の壁で、演劇文化を伝えてきたそれらは、時に芸術の革命を志す集団の「旗印」となり、またある時は美術家の実験の場となってきた。

 演劇史、美術史の資料としても貴重なそうしたポスターを集めた展覧会「現代演劇ポスター展2020」のVR(仮想現実)映像を、「ポスターハリス・カンパニー」が無料で公開し始めた。1950年代から2020年までの多彩なポスター342点が並ぶ会場の中を、歩くように鑑賞できる。(写真はいずれもポスターハリス・カンパニー提供)

拡大「現代演劇ポスター展2020」の会場=東京・渋谷のヒカリエホール

 ポスターハリス・カンパニーは演劇ポスターの掲示を請け負う会社だ。代表の笹目浩之さんが学生だった1983年にアルバイトで始め、87年に法人化した。ポスター張りを単なる宣伝ではなく、演劇を劇場の外に連れ出す行為、一つの表現活動としてとらえ、活動している。

 公演が終わり、演劇を告知するという役割を終えても、舞台や時代の空気を伝え続けるポスターの力を強く感じた笹目さんは、94年から「現代演劇ポスター収集・保存・公開プロジェクト」を始めた。現在は2万点以上を保管し、データベース化を進めている。収集したポスターには画鋲の穴やテープの痕が残る物も多い。笹目さんはそれを傷ととらない。「きちんと仕事をしてきた証拠。ポスターとして正しいあり方」と考えている。

拡大『ジャパン・アヴァンギャルド アングラ演劇傑作ポスター100』(桑原茂夫・笹目浩之編集、PARCO出版)
 その魅力を伝えるために定期的にポスター展を開催し、2004年には名品100点に詳細な解説をつけた大型本『ジャパン・アヴァンギャルド アングラ演劇傑作ポスター100』(桑原茂夫・笹目浩之編集、PARCO出版)を出版した。

 美術館などからの貸し出し依頼も多く、近年では、「1968年―激動の時代の芸術」展(2018~19年、千葉市美術館、北九州市立美術館、静岡県立美術館)、「あしたのジョー、の時代展」(練馬区立美術館、14年)、「尾辻克彦×赤瀬川原平―文学と美術の多面体―」展(町田市民文学館ことばらんど、14年)、「日本の70年代 1968-1982」展(埼玉県立近代美術館、広島市現代美術館、12~13年)、「氾濫するイメージ 反芸術以後の印刷メディアと美術 1960's-70's」展(うらわ美術館、八王子市夢美術館、足利市立美術館、08~09年)などに出品された。

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筆者

山口宏子

山口宏子(やまぐち・ひろこ) 朝日新聞記者

1983年朝日新聞社入社。東京、西部(福岡)、大阪の各本社で、演劇を中心に文化ニュース、批評などを担当。演劇担当の編集委員、文化・メディア担当の論説委員も。武蔵野美術大学非常勤講師。共著に『蜷川幸雄の仕事』(新潮社)。

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