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落合恵子さん 子どもたちと本との〝架け橋〟になって……

子どもの本の専門店「クレヨンハウス」を主宰して40年余。ENEOS児童文化賞受賞

梓ゆかせ フリーライター

“座り読み”を呼びかけて

 緊急事態宣言が出されていたときは、クレヨンハウスも休業を余儀なくされた。だが、ピンチはチャンスでもある。“巣ごもり”中で時間があるなら、ぜひ本を読んでほしい、と読書キャンペーンを始めた。

 宣言が解除され、再オープンした今は、感染防止対策を取りながら、子どもたちに「夏休みに行くところがないならウチ(クレヨンハウス)へ“座り読み”に来て」と呼びかけている。

 〝座り読み〟ができる本屋さん、はクレヨンハウスのトレードマークのひとつだ。店内に読書スペースが設けられ、好きな本を持ってきて、ゆっくり座りながら本を読むことができる。当初は、本の流通業者に猛反対された。本が汚されてしまう、分厚い絵本を読むので本を買わない子どもに長時間居座られてしまう……云々。

 「絵本はあっという間に読めてしまうもの。(流通業者は)そんなことも知らなかった。それに、子どもたちはとっても大事に、きれいに本を扱ってくれました。読んだ後は、ちゃーんと元あった場所に返してくれますしね」

読書の面白さを知った「原体験」

 読書の面白さを知った「原体験」の時間がある。

 シングルマザーの母親と2人暮らしだった少女のころ、夕方、一緒に遊んでいた友達が晩ごはんに帰った後、仕事から戻る母親を、ひとりアパートの階段に座って待っていた。

 「そこが私の〝指定席〟。毎日30分くらいだったかな。そこで大好きな本を読む。物語の登場人物と語り合ったり、空想したり…。そんな私を見てかわいそうに思ったのか、『ウチで晩ごはん食べなさい』って誘ってくださった近所の方もいましたが、私にとっては結構楽しい時間だったのです」

「子どものころ、“大好きな物語”に出会ってほしい」

拡大落合恵子さん ©神ノ川智早
 絵本は子どもだけの本ではない。「子どもから」楽しむことができる本だ、という。

 例えば、1942年にアメリカの絵本作家、バージニア・リー・バートンが書いた不朽の名作「ちいさいおうち』。田舎の擬人化された小さな家が主人公。静かだった周囲が次第に都市化されてゆく光景が、時にユーモラスに、時にシリアスに描かれる。

 「戦争の時代に書かれた作品ですが、今の環境問題にも通じる内容です。

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筆者

梓ゆかせ

梓ゆかせ(あずさ・ゆかせ) フリーライター

1968年京都市出身 地方紙記者から、フリーライターへ。事件、スポーツ、芸能・文化などの分野で執筆活動を行う。