メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「1982年生まれ、ヒョンビン」と半沢直樹と暗号と

矢部万紀子 コラムニスト

 ヒョンビンが1982年生まれだということは、わりと早い段階から知っていた。が、キム・ジヨンと同い年だと気づいたのは、つい最近だ。きっかけは、ドラマ「半沢直樹」。という話を書くのだが、まずは基礎知識を少し。

 ヒョンビン=韓国のドラマ「愛の不時着」で北朝鮮の大尉(リ・ジョンヒョク)を演じた俳優。1982年9月生まれ。韓国の財閥令嬢で、北朝鮮に不時着したファッションブランド経営者(ユン・セリ)とのラブストーリーはNetflixで大人気。「総合トップ10(国内)」で不動の上位をキープ中。

 キム・ジヨン=韓国の小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著)の主人公。1982年4月生まれ。出産を機に広告会社を退社、心を病む。小説は担当精神科医のカルテの形をとり、男性優位社会を描き大人気に。韓国で130万部、日本で18万部を記録。10月に日本でも映画公開予定。

 ドラマ「半沢直樹」=「倍返し」が流行語になり、最終回に視聴率42.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した前作から7年、TBS系でオンエア中。主人公・半沢直樹(堺雅人)は東京中央銀行から子会社に出向、4話で戻る。半沢は前シリーズの原作などにあるように「バブル入行組」だから、1966~70年頃生まれか。

 ヒョンビンの生まれ年を知ったのは、5月中旬。緊急事態宣言下、「愛の不時着」を見て感動、調べたのだ。先行き不安だった心が、大人同士のラブストーリーに癒やされた。演じた2人の年齢を調べたらヒョンビンも、セリを演じたソン・イェジンも82年生まれだった。そっかー、2人ともアラフォーなのかー。その事実に感動した。

北朝鮮のエリート将校、リ・ジョンヒョク役のヒョンビン=「愛の不時着」独占配信中のネットフリックス提供 
拡大北朝鮮のエリート将校、リ・ジョンヒョク役のヒョンビン=「愛の不時着」配信中のNetflix提供

 日本で大人の恋愛ドラマを見ることは、めったにない。それどころか、アラフォー以上の女優は「水戸黄門」になる。かねがねそう思っていた。典型が「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)。天才外科医を演じる米倉涼子(45)の「私、失敗しないので」は難手術を成功させる合図だから、「助さん、格さん、懲らしめてやりなさい」又は「この紋所が目に入らぬか」といったところ。最近の鈴木京香(52)もそんな感じで、「セカンドバージン」(2010年、NHK)ではあんなにドキドキの恋愛を演じていたのに、この頃は「カリスマ」とか「神様」とかと呼ばれる「仕事をする人」の役ばかりだ。

 ドラマ制作者の「年齢を重ねた女優→仕事の達人→高視聴率」という思考回路の前提は、「女性の達人→珍しい存在→恋愛なし」だろう。だが「愛の不時着」は、「年齢を重ねる男女→仕事の達人同士→恋愛」なのだ。なんで日本はそうならないのかなー。

 といった感想から2カ月。7月19日に「半沢直樹」の放送が始まった。1話と2話を見てあまりのことに驚き、ヒョンビンとキム・ジヨンが同い年だと気づかされた。激しく心が揺さぶられた。のだが、その前に。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。最新刊に『雅子さまの笑顔――生きづらさを超えて』(幻冬舎新書)

矢部万紀子の記事

もっと見る