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「1982年生まれ、ヒョンビン」と半沢直樹と暗号と

矢部万紀子 コラムニスト

ヒョンビンはマッチョ男にならない

 「愛の不時着」初見で、ヒョンビンにハマった。185センチ、超ハンサム。「愛の不時着」では「顔天才」と表現された彼の主演ドラマをもっと見るべく、動画配信サイトを渡り歩いた。「愛の不時着」を7巡した人のインタビューもした。わかってきたのが、ハマった理由は「顔天才」だけではないということだった。

「愛の不時着」=ネットフリックス提供 
拡大「愛の不時着」=Netflix提供

 7巡したのは、フェミニズム専門出版社エトセトラブックスの代表・松尾亜紀子さん。「愛の不時着」を「完璧に対等な男女の、壮大な恋愛ファンタジー」と表現、「ジェンダー的な安心感が心地良かった」と語っていた。ジョンヒョクとセリの対等さはもちろん、北朝鮮で生きる人々のシスターフッド、ブラザーフッド、両方が描かれている、と。

 この松尾さんの指摘を胸に、ヒョンビン主演ドラマを次々と見ていき、7月末までに9本をコンプリートした。「愛の不時着」2巡目も含め、168時間超を費やした。わかったのは、松尾さんの言う「ジェンダー的な安心感」が通底していたことだ。

 財閥の御曹司というのが彼の当たり役で、「私の名前はキム・サムスン」(05年)と「シークレット・ガーデン」(10〜11年)で2度のブームを起こしている。ヒロインはどちらも、職人的な仕事(パティシエとスタントウーマン)に誇りを持つ気の強い女性。それは「身分違いの恋」を意味するが、次第に御曹司が彼女を愛するようになる。仕事込み、性格込みのありのままの彼女、というところがポイント。こう変われ、などと決して言わない。

 もう一つ気づいたのが、彼が演じると

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筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。最新刊に『雅子さまの笑顔――生きづらさを超えて』(幻冬舎新書)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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