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「治療よりも仕事を優先したい」のはいけないことなのか?

薬剤師が主役のドラマ「アンサング・シンデレラ」から考える「医療」と「生活」

牛山美穂 大妻女子大学准教授(文化人類学、医療人類学)

「医療」と「生活」のぶつかり合い

 この、「正しい治療」と、現実的なさまざまな事情から「正しい治療」ができないという事情――「医療」と「生活」のぶつかり合いともいえるだろう――は、おそらくさまざまな病気に関しても持ち上がる事態であろう。新田の「治療よりも仕事を最優先したい」という気持ちも、こうした、「正しい治療」を選ぶか、「生活」を優先させるか、という話の、「生活を優先したい」という思いからきている。

 この「治療よりも仕事を優先したい」という新田の思いに共感する患者も数多くいるのではないだろうか。というのも、患者にとっては、治療のほかにも仕事や育児や学業など、優先したいさまざまな事柄が生活のなかにあるはずだからである。医療従事者の目から見ると、治療がすべてに優先される事柄に思えても、患者にとっては、治療は生活のなかの一部であり、それよりも優先したい事柄があってもおかしくはない(とくに病気が、直接命にかかわらない場合はその傾向も強くなるだろう)。

Blue Planet Studioshutterstock拡大Have a nice day Photo/Shutterstock.com

 こうした治療を優先したい医療従事者の視点と、生活を優先したい患者の視点では、

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筆者

牛山美穂

牛山美穂(うしやま・みほ) 大妻女子大学准教授(文化人類学、医療人類学)

大妻女子大学人間関係学部人間関係学科社会学専攻准教授。千葉県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了後、イギリスに渡りUniversity College London医療人類学コース修士課程修了。早稲田大学大学院文学研究科博士号(文学)取得。専門は文化人類学、医療人類学、ジェンダースタディーズ、カルチュラル・スタディーズ。現在の主な研究テーマは、医師と患者の関係、自助グループ、アトピー性皮膚炎をめぐる問題。主な著書に『ステロイドと「患者の知」:アトピー性皮膚炎のエスノグラフィー』(新曜社、2015年)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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