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韓国伝統ミュージシャンと西洋ミュージシャン

 今回の番組は、8.15の特番。

 日本では8月15日は終戦日になるが、韓国では解放された光福節。

 祝日になるので、テレビでは1日中特番や歴史スペシャル的な放送をする。

 その日の午後5時半からのオンエアの音楽番組。『あなたが、大韓民国です』という、うたばん。

 なぜ私を選んだのかを作家に尋ねると、YouTubeで私を見たという。オデッセイという曲で、オーケストラと一緒に演奏しているのを見て、この番組にぜひ出てほしかったと。

 ほう、これはうれしいではないか!!

 だって韓国のテレビ局も、芸能事務所パワー満開で、そうやって音楽番組の出演陣や、曲のヒットチャートも左右していますから、直接作家さんから、しかも自曲をリクエストされるということは、本当に珍しいことなのです。

 けどここで問題。オデッセイという私の曲は、15分の長さのオーケストラのコンチェルト。

 しかし今回の放送で私に与えられた時間は、4分半。

 こりゃ大変だ、15分の曲を4分半にアレンジしなおさなければいけない……。

 それとコロナの影響で、KBS交響楽団をフルで使えなく、ストリングスだけになるという。そこで、湧いて出たアイデアが、ストリングスにプラスして、以前から付き合いのある、国楽室内楽団「イサン」に出演協力をお願いした。

拡大国楽室内楽団「イサン」

 まずは、その「イサン」チームの作曲家と、15分から4分半への編曲と、楽譜作成。

 次はイサンと私だけのリハを動画で撮り、作家やKBS交響楽団ストリングスに楽譜と一緒に送る。

 そして数日後の本番前々日に、全員での音楽リハーサル。

 だがここで問題発生、KBS交響楽団の音楽監督が、この曲のリズムをうまく理解できず苦戦。けど大丈夫。こういうことは西洋側の音楽陣とやる際にはよくあることで。その詳しい理由は、よろしければ私の論座記事『韓国伝統音楽「5拍子10拍子の世界」へようこそ!』をお読みください。

 とにかく、韓国伝統ミュージシャンと西洋ミュージシャンでは、リズムの取り方や創作方法がちがうので、初めは苦戦するのです。

 けど腹が立ったのは、このKBS交響楽団の監督がちょっとクセが強い音楽監督で、変拍子の所がうまく合わなかったので、自分があっている! 私たちが間違っている! と、みんなの前で豪語! びっくりして、思わず楽団を見渡す。

 でもその時、KBS交響楽団のみなさんたちが、その声を無視し、私の目を見て、「大丈夫、大丈夫。ミンさんが合ってる」みたいなサインを目で送ってくれた。腹が立ったけど、そこで私も大人になって、うまく流し無視することにした。

 どこにでもいるのです、自分の間違えに気づかず、他人のせいにする人。

 イラっとしたけど、こんなことで本番に差し支えがあったらつまんないので、忘れることにした。私も大人になったもんだ。一昔前だったら、大暴れしていたでしょう。

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筆者

ミン・ヨンチ

ミン・ヨンチ(閔 栄治) ミュージシャン 韓国伝統音楽家

大阪生まれ。幼少の頃からブラスバンドやドラムを経験し、高校から韓国へ。旧李王朝雅楽部養成所であった国立国楽高等学校に入学、ソウル大学音楽学部国楽科卒。1992年サムルノリ競演大会個人部最優秀賞。1992年国楽室内管弦楽団「スルギドゥン」に入団。1993年スーパー・パーカッション・グループ「PURI」創団メンバー。イ・ムンセ(歌手)のテレビ番組にも出演。現在も韓国伝統音楽とジャンルの違う音楽とのコラボレーションに活動中で、2009年に立ち上げた公演「新韓楽」ではジャズとコラボ―レーションした。日韓両国で数多くの公演。アルバム「HANA」(2015年/ユニバーサルミュージック・ジャパン)をリリース。ライブでは日本全国3万人を動員。国楽管弦楽の作曲にも力を入れ、2014年韓国文化芸術委員会で作曲賞受賞。「大衆に楽しんで聞いてもらえる楽曲作り」を目指す。現在、韓国芸術総合大学、梨花女子大学、秋藝芸術大学講師。

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