メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

伊藤詩織さんの「いいね」提訴は言論弾圧なんかじゃない

性暴力を告発・非難する「表現の自由」を取り戻す戦いだ

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 フリージャーナリストの伊藤詩織氏が、SNSで誹謗中傷を受けたとして、衆院議員の杉田水脈氏(自民党/比例中国ブロック)と、元東京大学特任准教授の大澤昇平氏を東京地方裁判所に提訴しました。

 伊藤氏は、元TBSワシントン支局長・山口敬之氏から性的暴行を受けたと告発した件について、ネット上で膨大な量の誹謗中傷を受けているのは周知の事実かと思います。6月には漫画家のはすみとしこ氏等を相手取り提訴していますが、今回もそれに続き、繰り返される二次加害・三次加害に対する提訴に踏み切った形です。

SNSで誹謗中傷を受けたとして提訴した伊藤詩織氏拡大SNSで誹謗中傷を受けたとして提訴した伊藤詩織氏。「いいね」が名誉侵害にあたるかも問われる

「ハニトラ」という誹謗中傷はもはや言論ではない

 この提訴がニュースとして報じられると、はすみ氏を提訴した時と同様、インターネット上では応援や励ましの声が多数寄せられました。自身の名誉回復のみならず、「被害者が声をあげにくい構造を変えていきたい」という伊藤氏の社会的視点や志は、本当に素晴らしいと思います。全力で支持・応援したいと思った人は、きっとたくさんいることでしょう。

 しかしその一方で、今回の提訴に対して、「言論弾圧」「言論統制」「言論封殺」という非難の声もあがっていました。提訴された大澤氏は、「左翼の言論弾圧は益々加速し、日本から言論の自由が奪われる」とTwitterで述べ、はすみ氏も「凄い言論統制だわ。彼女は立派なファシストだね!」と書いています

 ですが、本来「言論」とは、事実に基づき、自分の意見を論理的に述べることのはずです。「ハニートラップ」「枕営業」といった事実とは異なる言葉を用いて、公人ではない伊藤氏を罵ることは、もはや「言論」の範疇には入りません。

 たとえば、大澤氏は6月13日に「具合悪そうだから介抱したのに急に『レイプされた』とかファビョり出して社会的地位を落としにかかってくるのトラップ過ぎるし、男にとって敵でしかないわ。」とTwitterで投稿していますが、これのどこが「言論」だと言うのでしょうか?

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

勝部元気の記事

もっと見る